スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(62)
マーケット・リサーチ(10)
おはようございます。今回は、SWOT分析(環境分析)でよくある誤認についてお伝えします。
企業の成長戦略のシナリオを創る時に、SWOT分析を行いますが、SWOT分析を行なって意思決定をする時に様々な誤認があります。
たとえば、企業の成長戦略のシナリオを創る時に、最初に行うべきことは、自社の事業領域を拡張することだと思われがちですが、決して、そうではありません。
なぜなら、成長戦略で最初に行うべきことは、「自社は何を諦め、今すぐやめるべき事は何か?」を決めることから始める必要があるからです。
なぜかと言いますと、たとえば、投資でも同じなのですが、損出を抱えたままで損切りをせずに新たなポジションを創ると、プロスペクト理論通り、余計に損出が増えます。
こういった場合、いったん損切りをしてから、新たなポジションを創るのが鉄則ですが、実態のあるビジネスにおいても全く同様で、まずは、「自社は何を諦め、今すぐやめるべき事は何か?」を決めてから、新しいことを始める必要があります。
また、現実問題として、SWOT分析では、教科書的には、1.「新たに実行すべき内容」、2.「克服すべき内容」、3.「撤退すべき内容」の3つの意思決定ツールですが、2の「克服すべき内容」については、現実問題として、自社が何かの課題を克服して事業機会を得るということが、ほとんどできません。
ですから、2の「克服すべき内容」は、グレーゾーンではなく、グレーに近いデッドゾーンとして判断した方が良いです。
つまり、SWOT分析では、「強み」と「機会」に焦点をあてて分析をし、それ以外は、「撤退する期日や理由」を明確に決めるためのツールとして利用された方が良いと思います。
たとえば、今、あなたが花屋さんをしているとして、顧客や市場を決定せずに不特定多数の人を対象に漠然と商売をしていたとします。
そう行った場合なら、自社の「強み」と「機会」から自社が競争優位になるような「業界」や「市場」を特定するためにSWOT分析を行います。
たとえば、不特定多数の顧客に花を売ろうとするのではなく、「医療」、「食品」、「催事市場」など、自社が競争優位になるような「業界」や「市場」を見つけ出すためにSWOT分析を行うのです。
SWOT分析を行って意思決定をする時は、こういった点に特に注意してください。
ご質問・お問い合わせ:質問・お問い合わせフォーム
公式ウエッブサイト:創造的マーケティング戦略
スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(61)
マーケット・リサーチ(9)
おはようございます。前回までで、3C分析、機会/脅威分析についてお伝えしましたので、今回は、SWOT分析(環境分析)についてお伝えします。
まず、SWOT分析(環境分析)の分析手順を説明します。
SWOT分析(環境分析)は、マクロ環境(政治、経済、社会、技術、デモグラフィックス、自然)、ミクロ環境(業界、市場)から自社に影響を与える情報を収集し、3C分析によって、自社の「強み」・「弱み」を特定し、機会/脅威分析から自社の「機会」・「脅威」を特定します。
そして、次に、特定した「強み」・「弱み」、「機会」・「脅威」の4つの項目より、クロス分析・評価をして、以下の4つの意思決定を行います。
1.「強み」と「機会」より、自社が新たに実行すべきことを決める
2.「弱み」と「機会」より、自社が克服すべきことを決める
3.「強み」と「脅威」より、自社が克服すべきことを決める
4.「弱み」と「脅威」より、自社が撤退すべきことを決める
SWOT分析では、このような「強み」・「弱み」、「機会」・「脅威」の4つの項目よりクロス分析をして、その内容を評価して、意思決定を行います。
ですから、SWOT分析も、分析と言っても専門的な計算や手法があるわけではなく、意思決定ツールですので、該当する項目を分類・比較・評価して、意思決定するだけです。
ここで、SWOT分析の分析手順を要約しますと、
1.マクロ/ミクロ環境から自社に影響を与える情報を収集する。
2.3C分析によって、自社の「強み」・「弱み」を特定する。
3.機会/脅威分析から自社の「機会」・「脅威」を特定する。
上記の1~3より、
4.「強み」・「弱み」、「機会」・「脅威」をクロス分析して、自社が
1.「新たに実行すべき内容」
2.「克服すべき内容」
3.「撤退すべき内容」
この3つの意思決定を行います。
では、次回は、SWOT分析でよくある誤認についてお伝えしたいと思います。
ご質問・お問い合わせ:質問・お問い合わせフォーム
公式ウエッブサイト:創造的マーケティング戦略
スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(60)
マーケット・リサーチ(8)
おはようございます。今回は、SWOT分析(環境分析)の機会/脅威分析についてお伝えします。
まず、SWOT分析の機会/脅威分析を行うための情報は、以前お伝えしたように、マクロ環境の変化によって、自社が現在参加しているか、もしくは、これから参加、撤退する業界や市場に与える機会/脅威の情報を収集します。
収集する情報の項目としては、次の6項目です。
1 政治
2 経済
3 社会
4 技術
5 デモグラフィックス(人の統計的な属性)
6 自然
この6つの項目に沿って、マクロ情報を収集し分析します。情報の収集先は、政府の資料、業界紙、シンクタンク、様々なメディア・・・ など、信頼できるマクロ情報であれば、どこから収集しても構いません。
では、機会/脅威分析の方法について説明いたします。
機会/脅威分析は、分析の方法に定型のフォームがあり、そのフォームを使います。
まず、機会分析は、「魅力度」を縦軸にし、「成功確率」を横軸にして、4つの事象に分類できる機会マトリックスを作り、自社にとって「魅力度」(利益を出せる可能性が高い)と「成功確率」から判断して、「機会」(自社の事業機会)を評価します。
たとえば、新しい技術が普及し、市場のニーズがアナログからデジタルへと変化しだしたとします。
こういった場合、「機会」を評価するには、デジタル化は、自社にとって、「魅力度」(利益を出せる可能性が高い)と「成功確率」が高いかを判断して、「機会」を分析して評価します。
また、市場のニーズがアナログからデジタルへと変化しだした時、その変化が事業機会になる企業もありますが、逆に事業脅威になる企業もあります。
こういった場合、「深刻度」を縦軸にし、「発生率」を横軸にして、4つの事象に分類できる脅威マトリックスを作り、自社にとって「深刻度」(損失の程度)と「発生率」から判断して、「脅威」(自社の事業脅威)を分析して評価します。この時に行う分析が脅威分析です。
機会/脅威分析も、このように、分析といっても特別に難しい計算や手法があるわけではなく、マトリックスを作って4種類の事象に別けて、マクロ環境の変化が自社にとってどのような影響を与えるか、その変化を4種類の事象に分類して、評価するだけです。
以上で、SWOT分析をするために必要な3C分析、機会/脅威分析の2つの分析についてお伝えしましたので、次回は、この2つの分析から導かれた、「強み」、「弱み」、「機会」、「脅威」から、どのようにSWOT分析を行うのかについて説明いたします。
ご質問・お問い合わせ:質問・お問い合わせフォーム
公式ウエッブサイト:創造的マーケティング戦略
スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(57)
マーケット・リサーチ(5)
おはようございます。前回、SWOT分析(環境分析)を行うためにどのような情報を収集すれば良いか説明いたしましたので、今回は、SWOT分析(環境分析)は、どのような方法で分析するか見ていきましょう。
まず、SWOT分析(環境分析)は、次の2つの分析で構成されています。
1.3C分析(強み/弱み分析)
2.機会/脅威分析
この2つの分析です。マーケティングでは、○○分析というのが、やたら出てきますが、ここで、少し、分析とは何かについて説明します。
マーケティングで行われる分析は、次の2種類しかありません。
1.定量分析
2.定性分析
この2つです。定量分析とは、読んで字のごとく、市場サイズ、標準価格、予想売上高など、数量を調べる時に行う分析です。
たとえば、これから販売する製品の価格を決める時に、価格弾力性分析をして、製品が売れ易い価格帯を見つけ出して定価を決めたりします。このような数量にまつわる分析が定量分析です。
また、定性分析も読んで字のごとく、何かの性質を調べる時に行う分析です。
たとえば、電気スタンドなら、いろんな種類の特徴を持った電気スタンドがありますが、そのどんな特徴の組み合わせが顧客から選好され易いのかを調べる時にコンジョイント分析をします。
このように、マーケティングで行われる分析は、定量分析、定性分析の2種類の分析がありますが、SWOT分析(環境分析)は、ほとんど定性分析しかしません。
では、次回は、3C分析について、説明いたします。
ご質問・お問い合わせ:質問・お問い合わせフォーム
公式ウエッブサイト:創造的マーケティング戦略
スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(56)
マーケット・リサーチ(4)
おはようございます。今回は、お待ちかねのSWOT分析(環境分析)について、概略的になりますが、どのような情報収集をするか見ていきましょう。
まず、SWOT分析(環境分析)とは、自社の「強み」と「事業機会」、「弱み」と「事業脅威」から、自社が、どのような「業界」と「市場」で「参入」、「撤退」すれば良いのかを知るためにする分析です。
たとえば、直近で紹介したスカイラインGTの例で言えば、スカイラインGTの元になった企業は、プリンスという倒産しかけた町の小さな自動車メーカーでした。
プリンスは、日産自動車のスカイラインGTを開発するまでに、次のような4回ものイノベーションをしました。
中島飛行機→富士精密工業→プリンス自動車工業→日産自動車(日産プリンス)
また、富士重工業(スバル)の母体になったのも中島飛行機です。
中島飛行機は、非常に優秀な会社で、戦後、戦前からあった自動車メーカーのトヨタ、日産、三菱でさえも海外の自動車メーカーの模倣、ライセンス契約、技術提携等がなければ自動車の開発ができませんでしたが、そんな当時、自動車を独自開発していたのが富士重工業(スバル)、プリンスの2社だけでした。
そんな技術力の高さに脅威を感じたアメリカは、GHQによって中島飛行機を12社に解体し、最終的には解散させました。
プリンスがイノベーションした経緯からもよく判るのですが、企業の「機会」と「脅威」は、「政治」、「経済」、「社会」、「技術」、「デモグラフィックス(人の統計的な属性)」、「自然」の変化によって起こります。
つまり、マクロ環境の変化によって、企業の「機会」と「脅威」が生まれます。
また、企業の「強み」、「弱み」は、「市場のニーズ」と市場に参加している「企業」との関係から生まれます。
「市場のニーズ」とは「顧客」のことで、「企業」とは、「競合他社」と「自社」のことですから、企業の「強み」、「弱み」は、「顧客」、「競合他社」、「自社」の関係で生まれます。
これらより、SWOT分析(環境分析)をするために必要な情報とは、「マクロ環境の変化の情報」と「3C(「顧客」、「競合他社」、「自社」)のマーケティング情報」の2つの環境情報ということがお判りになったと思います。
ここまでで、SWOT分析(環境分析)をするために必要な情報が何かがわかりましたから、次回は、どのように分析するかについてお伝えします。
ご質問・お問い合わせ:質問・お問い合わせフォーム
公式ウエッブサイト:創造的マーケティング戦略