スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(46)
ビジネスモデルを創るステップ(15)
「見込み客の顧客化」(6)
ハートシェア(感情)をポジショニングする時の重要なポイントについてお伝えします。
人の購買行動(感情的論理)は、「欲しい!」という欲求が表面化した後、「だって、○○だから!」と理由(言い訳)を見つけて購入に至る。
そして、人に自社の製品を「欲しい!」と思ってもらうには、「自社の製品が演出する感情」を刺激することで、「自社の製品を欲しい!」と思ってもらうことが可能になる。
では、その「感情」とは、どのような物なのか?
感情には、ポジティブな感情とネガティブな感情と2つの感情がある。
そして、ポジショニングの法則に沿ったマーケティングを行う時は、当然、「ポジティブな感情」で「製品イメージ」を見込み客にアンカーリングする。
たとえば、シーブリーズのようなメントール系のお風呂で使うシャンプーや液体石鹸なら、「爽快感」、「清潔感」のダブルベネフィットで見込み客に「製品イメージ」をポジショニングしている。
購入シーンのイメージは、こんな感じだ。
たとえば、現在のように、日中暑く、湿気が高くなると、「すっきりしたい!」、「汗や体臭が気になる!」といった環境の変化から、人の生理的欲求が高まり、シーブリーズのような、「爽快感」、「清潔感」といった、はっきりとしたベネフィットが判る「製品イメージ」を持った製品がよく売れるようになる。
この販売プロセスを「原因」→「現象」→「解決策」という因果関係の流れで見ていくと、「原因」は、「暑さ、湿気」、「現象」は、「不快感(生理的欲求)」、「解決策」は、「爽快感」、「清潔感」である。
「原因」 → 「現象」 → 「解決策」
「暑さ、湿気」→「不快感(生理的欲求)」→「爽快感」、「清潔感」
この場合、プロモーションで見込み客のどんな感情を刺激するとポジショニングの法則が機能するようになるか、判るだろうか?
ところで、以前、東証1部に上場している学習塾で83億の水増し売上計上を行う不祥事があった。
同学習塾は、生徒が欠席したにもかかわらず授業を受けたかのように見せかけ、講習料を返金せずに売り上げに計上。無料で行うサービス授業を通常の有料授業としていた。
売り上げ目標を達成するために、常務ら複数の幹部が不適切な会計処理を指示していたという。
社員には厳しいノルマが課せられ、ノルマが未達だと降給・降格はもちろん、ペナルティ教育が課せられており、3カ月ごとの信賞必罰の人事異動も行われて、会長を極端にカリスマ化し、社員を恐怖で支配していた。
まるで、北朝鮮の恐怖政治を学習塾の会社にしたままである。
そして、同学習塾の恐怖セールスの合言葉は、見込み客に「善意の押し売りをしろ!」、「善意の恐怖でアイスブレイクしろ!」である。
しかし、先生は学生か社会人のアルバイトが殆どで、授業料は、最低、相場の2~3倍である。夏期講習だけでも30万円以上の授業料を払う家庭も少なくない。
どこに善意があるのだろうか?
そして、買う気のない見ず知らずの親の注目を引くために、「恐怖」によって注目を引けるように2週間かけて新入社員にセールスマニュアルを丸暗記させて、マニュアルにある言葉だけで、「恐怖セールス」ができるように教育する。
同学習塾は、第三者委員会の調査結果を受けて有価証券報告書などの訂正報告書を提出し、最終損益では、黒字どころか、15億円の赤字であった。
「押し売り」に「善意」などないのだ。また、人を「恐怖」で支配など、できるはずもないし、見込み客を「恐怖」によってアイスブレイクしたところで、長期的に取引できる顧客になるはずもない。
ポジショニングの法則で、ハートシェアをポジショニングする時は、決して、こういったネガティブな感情を刺激して、見込み客のニーズを引き出してはならない。
なぜなら、笑話になってしまうが、製品がシャンプーなら、「恐怖のシャンプー」、「悲しいシャンプー」、「つらいシャンプー」といった訳の分からない製品イメージが見込み客にアンカーリングされるからだ。
想像して欲しい。
たとえば、悲しいことがあると「シャンプーで、すっきりしたい!」と思うだろうか?
恐怖ドラマを見ていると、「子供を学習塾に行かせなくちゃ!」と思うだろうか?
このように、ハートシェアをポジショニングする時の重要なポイントは、ポジティブな感情を刺激して見込み客のニーズを引き出すのだ。
たとえば、上述のシーブリーズのように、「爽快感」、「清潔感」といった、見込み客にはっきりとしたベネフィットが伝わるような「ポジティブな感情」を刺激して、ハートシェアにポジショニングするのである。
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なぜ、成功しないのか?(45)
ビジネスモデルを創るステップ(14)
「見込み客の顧客化」(5)
ポジショニングの法則に沿ったマーケティングは、「見込み客を顧客化」し、長期に渡って継続的な取引を可能にすることができる。
たとえば、アイダ理論を利用したプレゼンテーションのシナリオなら、
「注目」感情を刺激してアイスブレイク
「興味」製品による解決策の事例を提示(製品イメージ)
「欲求」見込み客に提供するベネフィットを提示(見込み客の将来像)
「行動」契約
このシナリオは、「感情」と「イメージ」をセットにした、潜在欲求を顕在化させる最強の方法論である。
ところが、一見、同じようなことをしているようでも、この法則が全く機能しない時がある。
その典型的な例として、次の2種類の原因がある。
一つは、容易に想像がつくと思うが、「自分勝手な都合による押し売りのセールス」である。
たとえば、家庭用の食事の食材を宅配サービスする会社では、こんな状況だった。
「注目」価格、特典を強調したキャンペーンチラシを見込み客にポスティング※ポスティングした見込み客は、過去に購入したことがあるか、問い合わせがあった人
「興味」キャンペーンチラシには、クロスセル、アップセルを促すメニューもあるが、今回のキャンペーンのメニュー、価格、特典が詳しく書かれている。メニューの内容も、はっきりと確認できる写真が掲載されている。(製品イメージ)
「欲求」キャンペーンチラシに書かれている内容の確認と、キャンペーン以外にもお得な情報を確認できるよう、キャンペーン情報やその他の製品情報をウエッブサイトと電話で説明し、顧客が間違った選択をして、購入後の後悔が起きないように万全を期すはずだった・・・(ニーズ充足)。
「行動」問い合わせがあった、ほとんどの見込み客は何も買わなかった。
なぜ、ほとんどの見込み客は、この会社の製品を何も買わなかったか、想像がつくだろうか?
信じられないことに、なんと、この会社のテレホンオペレーターは、チラシを見て、問い合わせをして来た見込み客に、自分の営業成績を上げるために、キャンペーンの商品ではなく、自分が売りたい高額な商品や売れ行きの悪い商品を売り込んだのである。
こんな身勝手な押し売りは、迷惑以外の何物でもない。
問い合わせをする見込み客が知りたいことは、キャンペーンの詳細な情報と、この会社の他のお得な情報である。
そして、そもそも、見込み客が興味を持つのは、見込み客自身がどうなれるかだ。
テレホンオペレーターの営業成績を上げるために、わざわざ問い合わせの電話をしたのではない。
この食品会社が、たとえ、どんなに魅力的なキャンペーンをしても、電話で問い合わせをした、ほとんどの見込み客が、この会社の製品を何も買わないのは当然の結果だ。
ところで、同じような現象として、フェイスブックやブログに多いのが、「私を見て!」の売り込みである。
読者の興味は、上述の食品会社と同じように、あなた自身ではなく、あなたを通して、読者自身がどうなれるかだ。
よほどの感情や縁がない限り、あなた自身に興味があるのではない。
あなたを通して、自分がどのような気分を味わえるか? どうなれるかに興味があるのだ。
では、この「私を見て!」をする人は、どのようなマーケティングを行うのか?
これが、俗に言う「自分マーケティング」である。最悪である。
「自分マーケティング」とは、「自分がそう思うから、みんなもそう思う」という、身勝手で、何ら客観性のない個人の妄想でできた意見の押し売りだ。
たとえば、健康食品によくある、「私が治ったんだから、あなたも治る」であったり、自己啓発によくある、「私にできたんだから、あなたにできないはずがない」といったものだ。
「自分勝手な都合による押し売りのセールス」にせよ、「自分マーケティング」にせよ、自分の都合で他人を巻き込む迷惑行為なのだ。
マーケティングは、ニーズありきだ。製品ありきでもなく、自分ありきでもない。
まずは、市場にどのようなニーズが存在するか、マーケットリサーチを行い、そこから、客観的事実に元づいてマーケティングを行わなければ、関わった人が迷惑するだけだ。
また、スモールビジネスを始めるほとんどの人が上手く行かないのは、製品ありきか、自分ありきである。しかも、マーケットリサーチとなると、皆無である。
そして、起業するにあたっては、まず、自分がやりたい仕事の資格またはスキルを習得する。その後、会社を退職して、すぐにお店または、事務所を構える。
しかし、開業してもお客さんがほとんどできないし、できても採算が合わない。そして、あわててマーケティングを学ぶ。この順番で行う。
上手く行くはずがないのである。
起業に際しては、まず、マーケットリサーチを行い、最低限、狙った市場で、どうやったら顧客が創れるか、そして、採算が合うかがわからないうちは、決して起業すべきではないのだ。
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なぜ、成功しないのか?(44)
ビジネスモデルを創るステップ(13)
「見込み客の顧客化」(4)
人が生まれながらに持った欲求は、次の5種類に分類される。
1 「のどが乾く」(生理的欲求)
2 「安全な場所に住む」(安全の欲求)
3 「友人を持つ」(社会的欲求)
4 「尊敬される人物になる」(尊敬欲求 評価の欲求)
5 「自分の夢を実現する」(自己実現の欲求)
といった5つの欲求である。(1~4は欠乏欲求。5は成長、創造的欲求)。
この5つの欲求には優先順位があり、人は、1→2→3→4→5の順番でしか欲求を満たすことができない。
たとえば、3の「友人を持つ」という欲求を満たすには、既に1の「のどの乾きを潤す」ことができ、2の「安全な場所に住む」ことができて、はじめて「友人を持つ」という欲求を満たすことができるといった優先順位が存在する。
ところで、この5つの欲求と「感情」は、一見、何ら関係がないように思えるのだが、実は、人は「感情」を刺激されると、この5つの欲求の何かの欲求を顕在化させるのである。
たとえば、あなたは、来月から戦争に行くことが決まったとする。当然、死の恐怖と戦うことになるが、死の「恐怖」という強い感情は、当然、「安全の欲求」を強く掻き立てる。
そんな折、偶然、生命保険のセールスパーソンと知り合いとなった。どうなるだろうか? 想像するまでもないと思う。
このように、「感情」は、普段、忘れているような潜在化された「欲求」を「顕在化」させるのである。
そして、その「感情」が強ければ強いほど、「欲求」も強くなる。「欲求」が強ければ強いほど、市場でのシェアも大きくなる。これがポジショニングの法則である。
このような法則性があるのだが、厄介なことに、この感情を刺激するマーケティングを行った場合、モラルに関係なく、5つの欲求の全ての欲求を「顕在化」させることが可能なのである。
どういうことかと言うと、上述なら、「恐怖」→「死のイメージ」→「安全の欲求」が顕在化→「生命保険購入」というシナリオであった。
つまり、アイダ理論で言えば、
「注目」恐怖(感情)
「興味」死のイメージ
「欲求」安全の欲求
「行動」生命保険購入
である。
このシナリオは、「感情」と「イメージ」をセットにした、潜在欲求を顕在化させる最強の方法論である。
ただし、よく見れば判るが、人を恐怖で支配した時、その催眠術が解けると、どうなるだろうか?
恐怖政治なら、クーデターが起こるだろう。ポジショニングにおいて、「恐怖」を煽ることは、確かに破壊力は凄いのだが、禁じ手なのである。
あるいは、この法則を積極的に悪用する輩がいる。たとえば、二束三文の英語教材を色気で煽って、高額な価格で売り、社会問題になったケースでは、以下の様なシナリオだった。
「注目」
薄着で胸元を強調し、ミニスカート姿のセールスレディーが男性本能を煽る(感情)
「興味」
英語仲間のパーティー写真と言い、派手なドレスを着たモデルのような女性の写真を見せて、嘘の将来像のイメージを焼き付ける。
「欲求」
英語教材を買ってグループのメンバーになれば、写真で見た仲間たちと楽しく英語の勉強ができると、社会的欲求(帰属欲求)を煽る。
「行動」
法外な高額の英語教材を売る。
このようなシナリオで、法外な高額の英語教材を売っていたため、当然、詐欺集団として社会問題となった。
残念ながら、人の欲求は、目的が善か悪かに関係なく、同じ反応をしてしまう。このような悪徳商法の防御策は、正しい知識を持ち、感情をコントロールする理性を持ち合わせる以外、方法がないのである。
また、残念ながら、一度、騙された人が何度も騙されてしまうのは、ポジショニングの法則が働いているためなのである。
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なぜ、成功しないのか?(43)
ビジネスモデルを創るステップ(12)
「見込み客の顧客化」(3)
顧客に何度も自社の製品購入してもらうことを可能にするのが、ポジショニングの法則であるが、ポジショニングの法則とは、次の3つの項目で構成される。
1 ハートシェア(感情的占有率)
2 マインドシェア(自己占有率)
3 マーケットシェア(市場占有率)
「見込み客」が「顧客」として定着し、自社の製品の「購買習慣」ができるのは、この3つのシェアが1→3の順に変化することで起きる現象である。
マーケティングをする上で、このポジショニングの法則は非常に重要な法則で、この法則を使いこなすことができるようになると、顧客の「購入習慣」を誘導できたり、あるいは、買う気のない人が、まるで催眠術をかけられたように製品購入に至ることがある。
ポジショニングの法則の法則性は、1のハートシェア(感情的占有率)が高い製品は、2のマインドシェア(自己占有率)が自動的に高くなり、心の無意識の領域に記憶され、製品情報がアンカーリングされる。
そして、その後、製品情報を繰り返して認識することで、2のマインドシェア(自己占有率)がどんどん広がっていき、無意識のうちに「○○を買うのなら××だ!」と信じるようになる。
そして、アンカーリングされた人が、一定量以上の製品情報を蓄積し、アンカーリングされた感情を理性でコントロールできなくなった瞬間、「○○を買うのなら××だ!」いう行動を行い、購入に至るのである。
人は、真実かどうかに関係なく、自分が真実だと信じたイメージに沿って行動するため、アンカーリングされた感情のイメージが壊れない限り、同じ行動を繰り返すように出来ている。
そのため、感情が激しく刺激されてハートシェアに製品情報がアンカーリングされると、短期間に自動的にマインドシェアの占有率が高くなり、催眠術にかかったような状態になってしまい、催眠術が解けるまで、購買行動が繰り返されて、購買行動が購買習慣へと変化するのである。
たとえば、切り傷を負って、出血した時に、「ちょっと、怪我したんだけど、バンドエイド持ってきて!」、あるいは、電子レンジで食品を温める時に、「サランラップある?」といったことを我々は無意識に言うが、こういった現象が起きる。
しかし、切り傷を止血する時、使うのは、必ずしもJ&J社のバンドエイドを使うとは限らない。また、電子レンジで食品を温める時の食品用ラップフィルムも旭化成社のサランラップを使うとは限らないのである。
ところが、人は、それが真実かどうかに限らず、このような行動をするのである。
つまり、感情が刺激されて、「感情」と「イメージ」が融合されて「製品イメージ」ができると、人は、無意識に「製品イメージ」を記憶し、感情の量に比例して、購入する機会も増えるのである。
「感情」とは、喜怒哀楽のことだが、喜び、怒り、恐怖、楽しみといった心の状態である。
「感情」を刺激するには、人が生まれ持った「5つの欲求」に対して、「言葉」と「イメージ」を使ったプロモーションを行えば良い。
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なぜ、成功しないのか?(42)
ビジネスモデルを創るステップ(11)
「見込み客の顧客化」(2)
人の「購買行動」と「購買習慣」は、次の3つの要因によって決定される。
1 人は、その人が真実だと信じたイメージに沿って行動する
2 「購買行動」は、「感情的論理」に沿って行われる
3 「購買習慣」は、ポジショニングの法則に沿って定着する
1の「人は、その人が真実だと信じたイメージに沿って行動する」とは、プラセボ効果のことである。たとえば、医者に水を風邪薬だと言われて患者が飲むと風邪が治ったり、あるいは、催眠術にかかった人が、今、北極にいると言われると、急に寒がり出したりする。
このように、人は、それが真実かどうかに関わらず、その人が真実だと信じたイメージに沿って行動するのである。
2の「「購買行動」は、「感情的論理」に沿って行われる」とは、人は、「欲しい!」という感情が沸き起こった後、「だって○○だから必要!」という理由を見つけて「購買行動」をする。このことを「感情的論理」という。
そして、購入後は、自分の行動が正しかったかどうか確かめるが、このことをセールスでは、「購入後の後悔」(ニーズ充足)と言っている。
セールスで行われる販売プロセスは、この「感情的論理」と「購入後の後悔」を組み合わせてできている。
つまり、セールスパーソンは、見込み客の前で、次の1~4の項目の順番でプレゼンテーションを行う。
1 「欲しいと思う感情を刺激する」(感情的欲求)
2 「必要という理由を説得する」(ニーズ(必要))
3 「後悔しない理由を提示する」(ニーズ充足(感情的欲求))
4 「契約する」(販売)
この1~4の順番でセールスパーソンはプレゼンテーションをするが、この販売プロセスをアイダ理論という。
アイダ理論は、標準化された一般的な理論としては、人の購買活動は、次の4つの項目と流れで行われることが説明されている。
1「注目」→2「興味」→3「欲求」→4「行動」
この4つの項目と流れである。
たとえば、時計を購入するのであれば、時計店に行き、
1「注目」自分が欲しいと思う時計を探す(感情的欲求)
2「興味」製品や価格を確認する(ニーズ(必要))
3「欲求」値引き、保証、特典などを確認する(ニーズ充足(感情的欲求))
4「行動」購入する
顧客は、このようなプロセスで製品購入をするが、この購買行動の流れに合わせてプレゼンテーションを行えば、成約率が上がるのである。
たとえば、
1「注目」自分が欲しいと思う時計を探す(感情的欲求)
店頭の目立つ所に「残り2本!」などの感情を刺激するPOPと時計の見本を追加して置くなどを行う。
2「興味」製品や価格を確認する(ニーズ(必要))
売り場で、製品に関する詳しい情報を提供する。
3「欲求」値引き、保証、特典などを確認する(ニーズ充足(感情的欲求))
顧客が購入後に後悔しないように、サービス、価格、在庫、製品情報、接客、サポート対応、保証などで競合他社と差別化をして対応する。
4「行動」購入する
顧客が買いやすくなるような購入方法を提供する。
このように購買行動の流れに合わせてマーケティングの7Pを決定して対応すれば、成約率が上がる。
一見、これだけで十分のように思えるが、さらに重要なことは、これだけだと、たった1回きりの購入で終わる可能性がある。
マーケティング戦略の目標は、何度も同じ顧客に製品購入をしてもらうことだ。
そして、何度も同じ顧客に製品購入してもらうことを可能にするのが、ポジショニングの法則である。
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なぜ、成功しないのか?(41)
ビジネスモデルを創るステップ(10)
「見込み客の顧客化」(1)
自社の「見込み客」が誰かが分かれば、次に「見込み客」がどうすれば、「顧客」になるかを考えなければならない。
ところで、「見込み客」には、3種類の見込み客がいることをご存知だろうか?
3種類の「見込み客」とは、
1 取引きをしたことがない「見込み客」
2 異業種にいる「見込み客」
3 現在取引していない元「顧客」
この3種類である。
この3種類の「見込み客」が、どうすれば「顧客」になるかを考えなければならないのだが、個々の属性にあわせて3種類のマーケティングを行うのが理想的だが、コスト面から判断しても、現実的ではない。
そこで、まず、この3種類の「見込み客」の共通の属性を見つけ出すところから始める。
この共通の属性をモデル属性と言うのだが、「見込み客」の「購買行動」と「購買習慣」に焦点をあてて、情報を収集し、分析して、モデル属性を導けば良いのである。
では、前述のラーメン店の事例で、考えてみよう。
前述のラーメン店の「見込み客」の定義は、「築地駅前で、昼食に価格は相場だが、あっさり味の高級感がある醤油ラーメンを食べる30代以上のビジネスパーソン」であった。
このタイプの「見込み客」は、3つの「見込み客」の1番にあたる。
次に、2の異業種にいる「見込み客」とは、1の「見込み客」の購入する製品の分野が違うが同じような購買行動をとるグループのことだ。
つまり、「築地駅前で、昼食に相場価格のラーメン以外の昼食を食べる30代以上のビジネスパーソン」である。
たとえば、和食、お弁当、イタリアン、焼き肉・・・などの昼食を食べる30代以上のビジネスパーソンである。
そして、最後に3の現在取引していない元「顧客」だが、この場合、2種類の購買行動をとるグループが存在する。
1つは、自社に何らかの不満があって、競合他社に移った「直接的要因」による購買行動をとるグループ。
そして、もう1つは、例えば、ダイエットを始めた、病気によって食事制限が始まったなど、「間接的要因」によって、購買行動をとるグループ。
この2つのグループが存在する。
まずは、この3種類の「見込み客」の「購買行動」に焦点をあてて、「成功要因」、「阻害要因」の情報を収集し、「成功要因」と「阻害要因」のモデル属性を定義する。
そして、次にポジショニングの法則に沿って、モデル属性の「見込み客」の「購買行動」がどうすれば、「購買習慣」に変化するかが考案できれば、「見込み客」がどうすれば、「顧客」になるかという解決策が導かれるのである。
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なぜ、成功しないのか?(40)
ビジネスモデルを創るステップ(9)
「見込み客の見つけ方」(2)
自社の「見込み客」が誰かを知るには、始めに市場での現在の自社のポジションを知る必要がある。
そして、そのポジションを知るためには、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという3つの項目をセットにして分析して特定する必要がある。
この3つの項目をマーケティングでは、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)という。
では、概略的になるが、事例でSTPの全体像を見て行こう。
たとえば、あなたが、今後、ラーメン店の出店を考えていたとする。
まず、最初にセグメンテーションを行うのだが、セグメンテーションとは、ざっくり言うと、「どこで、何を売るのか?」、あるいは、「どんな人に何を売るのか?」といったことを決めることである。
そこで、あなたは、「東京」で、「ビジネスパーソン」に「ラーメン」を売るとする。
セグメンテーションで行うことは、このように、場所、市場(顧客)、製品の共通の属性(セグメント)を分類することである。
このように、最初にざっくりとセグメンテーションをして、共通の属性をもったセグメントに分類できたら、次に、もう少し焦点を絞ってセグメンテーションする。
たとえば、
「東京」→「中央区」
「ビジネスパーソン」→「昼食を外食するビジネスパーソン」
「ラーメン」→「醤油ラーメン」
このように、さらに焦点を絞ってセグメンテーションした共通の属性をもったセグメントをサブセグメントという。
このサブセグメントが決まったら、次にターゲティングを行う。
ターゲティングで行うことは、セグメンテーションで分類したサブセグメント内にいる何処の誰を狙うのかを決める。
この事例なら、「中央区」にいる「昼食を外食するビジネスパーソン」で「醤油ラーメン」を食べるグループ(サブセグメント)の何処の誰を狙うのかを決める。
たとえば、
「中央区」→「築地駅前」
「昼食を外食するビジネスパーソン」→「30代以上の昼食を外食するビジネスパーソン」
と、いった内容で、何処の誰を狙うのかを決める。
ターゲティングが決まれば、次にポジショニングをすれば良い。
ポジショニングで決めることは、ターゲティングで決めたターゲットのどのようなニーズを満たすかを決める。
ポジショニングについて詳しくは割愛するが、ポジショニングでは、「製品」と「価格」によって、どのような製品イメージを演出するかが、ターゲットのどのようなニーズを満たすかということになる。
たとえば、
「醤油ラーメン」→「価格は相場だが、あっさり味の高級感がある醤油ラーメン」
と、いったことを決めればよい。
ここまでで、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングと行ってきたが、その結果、
「築地駅前で、昼食に価格は相場だが、あっさり味の高級感がある醤油ラーメンを食べる30代以上のビジネスパーソン」が、あなたが出店するラーメン店の「見込み客」だということが判った。
このように、「見込み客」は、STPを分析し、特定することで明確になる。
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なぜ、成功しないのか?(39)
ビジネスモデルを創るステップ(8)
「見込み客の見つけ方」(1)
マーケティング戦略は、顧客を深く理解するところから始まる。市場全体を俯瞰し、自社を顧客視点で客観的に見れるようになれば、自社が向かうべき方向を示す戦略もおぼろげに見えてくる。
そして、市場において、企業が市場のニーズに適切な戦略と戦術を同時に持ち合わせることができれば、企業は最大の能力を発揮することができる。
だが、ほとんどの企業は、戦略そのものがないのである。
あるのは、戦術だけだ。
自社がどんな武器(製品)で戦うのか? だけで、どのように戦うか?(マーケティングを行うか)は何も決まっていない。
そして、顧客のニーズに関係なく、自社の都合で製品ありきのセールスを行う。
従って、戦略を持つだけで、競合他社は、戦略を持った企業には勝てないのだ。なぜなら、競合他社は、戦略そのものが何かも理解していないのだから、もともと競争にならない。
たとえば、東京の受験業界は、こんな状態だ。
中学受験は、塾が合格実績を宣伝できる中学校に焦点をあてる。
そして、お決まりのフレーズは、「予習シリーズ(教材)」、「個別教室」、「学習システム」・・・などで、合格を煽って売り込んでくる。
これらは、ほとんどの顧客(生徒)も塾も使いこなせない製品である。
あるいは、高校受験なら「都立高校合格に強い○○。都立高校合格を目指すなら○○。」という宣伝をしていた塾があった。
都立高校は、公開模試の偏差値で言えば、30代から存在する。1社で市場の全てのニーズを満たすことは、不可能である。
これらの塾は、自社の勝手な都合で押し売りをしているのだが、さらに重要なことは、自社の「見込み客」が誰なのか知らないのである。
まるで、市場にいる全ての受験生が自社の「見込み客」だと言わんばかりだが、この不思議な現象は、何も受験業界に限ったことではない。
受験業界に限らず、ほとんどの業界のほとんどの企業は、市場にいる、まだ取引をしていない全ての競合他社の顧客は、自社の見込み客だと思っている。
これでは、戦略以前の話だが、だからこそ、戦略を持った企業は、無敵に近い状態になるのだ。
そして、自社の「見込み客」が誰かを知りたければ、市場での自社のポジションを知らなければならない。
顧客から見て、自社は、市場で、どんなニーズを満たしているのか? このことが判らなければ、「見込み客」が誰なのかも判るはずもない。
「見込み客」を探すためには、まず、市場での自社のポジションを知るところから始めるのが、始めの一歩だ。
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なぜ、成功しないのか?(38)
ビジネスモデルを創るステップ(7)
「見込み客とは何か」
「あなたの会社の製品に興味があります」、「あなたの会社の製品を売って下さい」など、「見込み客」からこう言われて製品を販売することができれば、ビジネスに携わる者としては、理想的な状態だと言える。
そして、顧客にとって適切なマーケティング活動をしていれば、このようなことも十分ありえる話だ。
ところが、「見込み客」が何かを正しく理解しないまま、セールス活動をした場合、このような理想的な状態とは縁遠くなるばかりか、むしろ、クレームが増えるだけで、徒労に終始するだけになることがほとんどである。
では、いったい、どうすれば、こういった理想的な状態になれるのだろうか?
「見込み客」が「新規顧客」になる瞬間を書籍にしたものに、ジャック・ワース、コラス・E・ルーベン共著の「高確率セールス」という書籍があるが、セールス活動についてよく解らないと言う方は参考にしても良いかと思う。
ただし、現実離れした箇所が数箇所あるので、注意して読んで欲しい。
この書籍では、POPの制作を請け負う印刷会社のセールスパーソンが、テレアポで見込み客を探すところから、仕事を受注して納品するまでを自社のセールスマニュアルに沿って行う姿が対話形式で書かれている。
だが、現実離れした箇所として、たとえば、書籍では、テレアポを取る時に、アプローチする相手を電話帳から無差別に選んで電話し、アポを取るように書かれているが、そんな行動をプロのセールスパーソンが行うことは、どんな業界でも、まず、ありえない話だ。
そもそも、そんなことをしたら、「高確率セールス」という書籍のタイトルそのものが嘘になってしまう。
また、この書籍は、自社のセールスマニュアルに沿って行われる、「話術による説得術」だという点にも注意を払って欲しい。
セールスとは、セールスレターにせよ、セールストークにせよ、「話術による説得術」である。
話術によって、説得しやすそうな人を狙って説得する、つまり、説得しないと売れない製品を話術で説得して、狙った相手に販売するのが一般的に行われているセールスだ。
つまり、売り手が売りたい製品を説得しやすそうな人に狙って押し売りするのである。
セールスとは、一般的に、このような行為であるため、セールスする相手を電話帳から無差別に選んで電話し、アポを取ろうとすれば、どうなるか明白だ。
では、こういったセールス活動は、どのように改善すれば良いのか?
まず、売り手の都合で行うセールス活動を今すぐやめることである。「私の売りたい製品はこれです!」といった押し売りをやめなければならない。
また、セールスする相手を電話帳から無差別に選ぶといった行動も迷惑である。新人研修の相手をさせられるのは、誰にとっても迷惑な話だ。
つまり、セールス活動をするのではなく、マーケティング活動を行うのである。
まず、市場を俯瞰し、自社と競合他社のマーケティングの7Pを比較して、自社の「強み」と「弱み」をしっかりと認識する。
そして、自社の製品を買うお金を持ち合わせ、自社の「強み」を気に入ってくれて、買いたいという意志を明言する可能性がある人に対して、自社の「強み」が、どのように顧客に貢献するかを何らかの方法でプロモーションするのだ。
この時にプロモーションする相手が「見込み客」なのである。
つまり、「見込み客」とは、自社の製品を買うお金を持ち合わせ、自社の「強み」を気に入ってくれて、買いたいという意志を明言する可能性がある人のことなのだ。
決して、電話帳から無差別に選んだ人の中から、自社の勝手な都合で、話術で説得できそうな押し売りする相手ではない。
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