スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(46)
ビジネスモデルを創るステップ(15)
「見込み客の顧客化」(6)
人の購買行動(感情的論理)は、「欲しい!」という欲求が表面化した後、「だって、○○だから!」と理由(言い訳)を見つけて購入に至る。
そして、人に自社の製品を「欲しい!」と思ってもらうには、「自社の製品が演出する感情」を刺激することで、「自社の製品を欲しい!」と思ってもらうことが可能になる。
では、その「感情」とは、どのような物なのか?
感情には、ポジティブな感情とネガティブな感情と2つの感情がある。
そして、ポジショニングの法則に沿ったマーケティングを行う時は、当然、「ポジティブな感情」で「製品イメージ」を見込み客にアンカーリングする。
たとえば、シーブリーズのようなメントール系のお風呂で使うシャンプーや液体石鹸なら、「爽快感」、「清潔感」のダブルベネフィットで見込み客に「製品イメージ」をポジショニングしている。
購入シーンのイメージは、こんな感じだ。
たとえば、現在のように、日中暑く、湿気が高くなると、「すっきりしたい!」、「汗や体臭が気になる!」といった環境の変化から、人の生理的欲求が高まり、シーブリーズのような、「爽快感」、「清潔感」といった、はっきりとしたベネフィットが判る「製品イメージ」を持った製品がよく売れるようになる。
この販売プロセスを「原因」→「現象」→「解決策」という因果関係の流れで見ていくと、「原因」は、「暑さ、湿気」、「現象」は、「不快感(生理的欲求)」、「解決策」は、「爽快感」、「清潔感」である。
「原因」 → 「現象」 → 「解決策」
「暑さ、湿気」→「不快感(生理的欲求)」→「爽快感」、「清潔感」
この場合、プロモーションで見込み客のどんな感情を刺激するとポジショニングの法則が機能するようになるか、判るだろうか?
ところで、以前、東証1部に上場している学習塾で83億の水増し売上計上を行う不祥事があった。
同学習塾は、生徒が欠席したにもかかわらず授業を受けたかのように見せかけ、講習料を返金せずに売り上げに計上。無料で行うサービス授業を通常の有料授業としていた。
売り上げ目標を達成するために、常務ら複数の幹部が不適切な会計処理を指示していたという。
社員には厳しいノルマが課せられ、ノルマが未達だと降給・降格はもちろん、ペナルティ教育が課せられており、3カ月ごとの信賞必罰の人事異動も行われて、会長を極端にカリスマ化し、社員を恐怖で支配していた。
まるで、北朝鮮の恐怖政治を学習塾の会社にしたままである。
そして、同学習塾の恐怖セールスの合言葉は、見込み客に「善意の押し売りをしろ!」、「善意の恐怖でアイスブレイクしろ!」である。
しかし、先生は学生か社会人のアルバイトが殆どで、授業料は、最低、相場の2~3倍である。夏期講習だけでも30万円以上の授業料を払う家庭も少なくない。
どこに善意があるのだろうか?
そして、買う気のない見ず知らずの親の注目を引くために、「恐怖」によって注目を引けるように2週間かけて新入社員にセールスマニュアルを丸暗記させて、マニュアルにある言葉だけで、「恐怖セールス」ができるように教育する。
同学習塾は、第三者委員会の調査結果を受けて有価証券報告書などの訂正報告書を提出し、最終損益では、黒字どころか、15億円の赤字であった。
「押し売り」に「善意」などないのだ。また、人を「恐怖」で支配など、できるはずもないし、見込み客を「恐怖」によってアイスブレイクしたところで、長期的に取引できる顧客になるはずもない。
ポジショニングの法則で、ハートシェアをポジショニングする時は、決して、こういったネガティブな感情を刺激して、見込み客のニーズを引き出してはならない。
なぜなら、笑話になってしまうが、製品がシャンプーなら、「恐怖のシャンプー」、「悲しいシャンプー」、「つらいシャンプー」といった訳の分からない製品イメージが見込み客にアンカーリングされるからだ。
想像して欲しい。
たとえば、悲しいことがあると「シャンプーで、すっきりしたい!」と思うだろうか?
恐怖ドラマを見ていると、「子供を学習塾に行かせなくちゃ!」と思うだろうか?
このように、ハートシェアをポジショニングする時の重要なポイントは、ポジティブな感情を刺激して見込み客のニーズを引き出すのだ。
たとえば、上述のシーブリーズのように、「爽快感」、「清潔感」といった、見込み客にはっきりとしたベネフィットが伝わるような「ポジティブな感情」を刺激して、ハートシェアにポジショニングするのである。
ご質問・お問い合わせ:質問・お問い合わせフォーム
公式ウエッブサイト:創造的マーケティング戦略