スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(45)
ビジネスモデルを創るステップ(14)
「見込み客の顧客化」(5)
ポジショニングの法則に沿ったマーケティングは、「見込み客を顧客化」し、長期に渡って継続的な取引を可能にすることができる。
たとえば、アイダ理論を利用したプレゼンテーションのシナリオなら、
「注目」感情を刺激してアイスブレイク
「興味」製品による解決策の事例を提示(製品イメージ)
「欲求」見込み客に提供するベネフィットを提示(見込み客の将来像)
「行動」契約
このシナリオは、「感情」と「イメージ」をセットにした、潜在欲求を顕在化させる最強の方法論である。
ところが、一見、同じようなことをしているようでも、この法則が全く機能しない時がある。
その典型的な例として、次の2種類の原因がある。
一つは、容易に想像がつくと思うが、「自分勝手な都合による押し売りのセールス」である。
たとえば、家庭用の食事の食材を宅配サービスする会社では、こんな状況だった。
「注目」価格、特典を強調したキャンペーンチラシを見込み客にポスティング※ポスティングした見込み客は、過去に購入したことがあるか、問い合わせがあった人
「興味」キャンペーンチラシには、クロスセル、アップセルを促すメニューもあるが、今回のキャンペーンのメニュー、価格、特典が詳しく書かれている。メニューの内容も、はっきりと確認できる写真が掲載されている。(製品イメージ)
「欲求」キャンペーンチラシに書かれている内容の確認と、キャンペーン以外にもお得な情報を確認できるよう、キャンペーン情報やその他の製品情報をウエッブサイトと電話で説明し、顧客が間違った選択をして、購入後の後悔が起きないように万全を期すはずだった・・・(ニーズ充足)。
「行動」問い合わせがあった、ほとんどの見込み客は何も買わなかった。
なぜ、ほとんどの見込み客は、この会社の製品を何も買わなかったか、想像がつくだろうか?
信じられないことに、なんと、この会社のテレホンオペレーターは、チラシを見て、問い合わせをして来た見込み客に、自分の営業成績を上げるために、キャンペーンの商品ではなく、自分が売りたい高額な商品や売れ行きの悪い商品を売り込んだのである。
こんな身勝手な押し売りは、迷惑以外の何物でもない。
問い合わせをする見込み客が知りたいことは、キャンペーンの詳細な情報と、この会社の他のお得な情報である。
そして、そもそも、見込み客が興味を持つのは、見込み客自身がどうなれるかだ。
テレホンオペレーターの営業成績を上げるために、わざわざ問い合わせの電話をしたのではない。
この食品会社が、たとえ、どんなに魅力的なキャンペーンをしても、電話で問い合わせをした、ほとんどの見込み客が、この会社の製品を何も買わないのは当然の結果だ。
ところで、同じような現象として、フェイスブックやブログに多いのが、「私を見て!」の売り込みである。
読者の興味は、上述の食品会社と同じように、あなた自身ではなく、あなたを通して、読者自身がどうなれるかだ。
よほどの感情や縁がない限り、あなた自身に興味があるのではない。
あなたを通して、自分がどのような気分を味わえるか? どうなれるかに興味があるのだ。
では、この「私を見て!」をする人は、どのようなマーケティングを行うのか?
これが、俗に言う「自分マーケティング」である。最悪である。
「自分マーケティング」とは、「自分がそう思うから、みんなもそう思う」という、身勝手で、何ら客観性のない個人の妄想でできた意見の押し売りだ。
たとえば、健康食品によくある、「私が治ったんだから、あなたも治る」であったり、自己啓発によくある、「私にできたんだから、あなたにできないはずがない」といったものだ。
「自分勝手な都合による押し売りのセールス」にせよ、「自分マーケティング」にせよ、自分の都合で他人を巻き込む迷惑行為なのだ。
マーケティングは、ニーズありきだ。製品ありきでもなく、自分ありきでもない。
まずは、市場にどのようなニーズが存在するか、マーケットリサーチを行い、そこから、客観的事実に元づいてマーケティングを行わなければ、関わった人が迷惑するだけだ。
また、スモールビジネスを始めるほとんどの人が上手く行かないのは、製品ありきか、自分ありきである。しかも、マーケットリサーチとなると、皆無である。
そして、起業するにあたっては、まず、自分がやりたい仕事の資格またはスキルを習得する。その後、会社を退職して、すぐにお店または、事務所を構える。
しかし、開業してもお客さんがほとんどできないし、できても採算が合わない。そして、あわててマーケティングを学ぶ。この順番で行う。
上手く行くはずがないのである。
起業に際しては、まず、マーケットリサーチを行い、最低限、狙った市場で、どうやったら顧客が創れるか、そして、採算が合うかがわからないうちは、決して起業すべきではないのだ。
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