スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(18)
「起業家レイ・ロックの成功」
マイケル・E・ガーバーより
マクドナルドは、自社のことを「世界で最も成功を収めたスモールビジネス」と呼んでいる。
そして、創業から四十年もたたないうちに、レイ・ロックの手によって世界中に2万8千を超える店舗網を持ち、年間400億ドルを売り上げる巨大事業へと成長した。
しかし、レイ・ロックの真の功績は、巨大なハンバーガーチェーンを築いたことよりも、「事業のパッケージ化」という発想によって、多くの起業家を成功に導き、様々な業種のフランチャイズビジネスを大きく成長させたことである。
そもそも、フランチャイズという制度は、既に百年以上前から存在していた。
しかし、その当時のフランチャイズという制度は、有名な商品を一定のエリア内で取り扱う権利を売買する仕組みで、流通コストを抑えて販売することに優れた効果を発揮する方法として、コカ・コーラやゼネラルモーターズなどを代表とした多くの有名企業が採用していた制度だった。
しかし、レイ・ロックは、このフランチャイズという制度に対する発想を転換し、フランチャイズの対象を商標だけに限定せず、商標を含め、事業を行うために必要な仕組み全体を販売したのである。
つまり、「事業のパッケージ化」を行い、その、パッケージを販売したのである。
これが、きっかけとなり、フランチャイズビジネス全体が急激な成長を遂げ、2000年時点での売上高は、年間一兆ドルにまでなった。しかも、八百万人の雇用までも生み出した。
レイ・ロック以前のフランチャイズも、レイ・ロック以後のフランチャイズも、一見すれば似たようなアイディアに思えるかもしれないが、根底にある考え方は、真逆であるといっても良い。
事業を立ち上げる人の多くは、事業の成功は、取り扱う商品の良し悪しにかかっていると考えがちだ。
そのため、レイ・ロック以前のフランチャイズビジネスは、キャデラックやベンツやコカ・コーラなどのブランドの価値がフランチャイズ契約の価格を決めていた。
確かに、このような考え方が正しい時代もあった。
しかし、時代は変わり、今やブランドは溢れ返っている。また、ブランドを維持することは、とても難しくなってきている。
そんな中で、フランチャイズビジネスは、フランチャイズビジネス全体が成長する一方で、商標だけのフランチャイズは激少したのである。
つまり、レイ・ロックが発見し、育てた「事業のパッケージ化」というフランチャイズ製品は、市場が、その価値と正しさを証明したのだ。
レイ・ロックの販売した、「事業のパッケージ」は、「何を売るか?」ではなく、「どのように売るか?」に注目する。つまり、売るための仕組みに焦点をあてることから始まる。
そして、レイ・ロックがマクドナルドを通して改めて理解したことは、ハンバーガーが彼の販売する商品ではないということだ。
レイ・ロックが販売したのは、マクドナルドという事業そのものなのだ。
この発想の転換が「事業のパッケージ化」の原点になった。
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