セールスを成功させる4つの機能
(4)「ニーズ充足」
ある時、ある実業家が巨額な保険契約をしました。
それを知った親しい保険の営業マンは憤慨して、なぜ、自分が勧める保険の契約をしてくれなかったか尋ねました。
すると、実業家は、一言、親しい保険の営業マンにこう言ったのです。
「だって、君は契約してくれと頼んでこなかったじゃないか。」
この話は、大変有名な話で、販売に携わるすべてのセールス・パーソンの教訓となっています。
セールス・パーソンが肝に銘じるべきことは、たいていの場合、見込み客は、本当は「イエス」と返事をしたがっているものだと知ることなのです。
特にセールス・パーソンが見込み客に対して印象がよく、ニーズ分析、ニーズ評価、ニーズ解決をきちんとやっていて、適度に親しみを持って接しているなら「イエス」と見込み客に返事をしてもらう可能性は高いのです。
なぜなら、「ノー」と言うことは、場合によっては人間関係を終わらせる可能性がありますから、見込み客は、本当は「ノー」と言いたくないのです。
勝算はセールス・パーソンの側にあるのですから、あなたも「注文をください」と、はっきりと言いましょう。
表現は印象良く、プロらしくする必要がありますが、とにかく頼むのです。
ある統計によれば、全商談の63%は、セールス・パーソンがはっきりと注文を要求しないため、商談が成功していないという報告があります。
何かを「手に入れる」ためには「お願い」しなければならないのです。
これで、セールスを成功させる4つの機能の説明は終わりです。
セールスを成功させる4つの機能は、セールス・パーソンにとって非常に重要な4つの機能とプロセスになりますので、セールスを成功させる4つの機能(1)~(4)を箇条書きにして、以下にまとめておきます。
●セールスを成功させる4つの機能のまとめ
・セールスとは「顧客を説得すること」である。
・セールス・パーソンにとって最も重要な資質とは「誠実さ(首尾一貫性)」である。
・誠実(首尾一貫)に物を売る(仕事をする)ということは、同じ商品を同じ人々に売りながら同じ会社で長期的にキャリアを積み重ねることができる唯一の方法。そして、そのことが販売実績を安定させ、経済面での安心をもたらす。
・セールスを継続的に成功させるためには、
1 ニーズ分析
2 ニーズ評価
3 ニーズ解決
4 ニーズ充足
の4つに機能を分けて個々に順番に行うことがその秘訣。
●セールスを成功させる4つの機能のポイント
●ニーズ分析
・見込み客は、彼ら自身が本当に欲しがっているものを正しく特定できていない可能性が大きい。そのため、見込み客は、 1 「必要なもの」 、2 「欲しいもの」 、この両方に反応する。
・「必要なもの」、「欲しいもの」を特定するため下図の流れに沿って欠落要因を調査する。
・購入に至らない「必要なもの」 は「欲しい」という欲求と「購入動機」が欠落している
・購入に至らない「欲しいもの」は「必要」という意識と「購入動機」が欠落している
●ニーズ評価
・人が自分の欲しいものを買う時は、お金を失う時に感じる感情(恐怖)よりも欲しいと思う感情が上回った時。
・ニーズ評価では、見込み客がこの「何か」と「何か」を比較して、見込み客の欲求度にあわせて交渉すべき製品コンセプトの優先順位をつけていきます。
●ニーズ解決
・ニーズ解決では、ニーズ評価で優先順位1にマッピングされたものに対して、「我が社はこのようなソリューション(解決策)を提供します」と提案する。
・一つの商品やサービスを提案するのではなく、ソリューション(解決策)を提案するのがポイント。 なぜなら、私たちは誰一人として商品やサービスを買うのではないため。
・私たちが買うものは、商品やサービスが私たちにしてくれること、つまり、「商品やサービスが私たちに提供するソリューション(解決策)」を買うため、販売すべきものは、たった一つの商品やサービスだけではないことが多い。
●ニーズ充足
・セールス・パーソンが肝に銘じるべきことは、見込み客は、本当は「イエス」と返事をしたがっている。「ノー」と言うことは場合によっては人間関係を終わらせる可能性があり、見込み客は、本当は「ノー」と言いたくない。
・「注文をください」と頼む。「手に入れる」ためには「お願い」しなければならない。
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セールスを成功させる4つの機能
(3)「ニーズ解決」
ニーズ解決では、見込み客が購入すべき製品(商品やサービス)を特定します。そこで、セールスを成功させる4つの機能のニーズ解決までの内容を再度、確認します。
●ニーズ分析
まず、ニーズ分析では、見込み客が「必要な物」、「欲しい物」と思っているものを探り当て、それらの物は、以下の図の4つの項目の何が欠落していて、どんな満足条件が必要なのか特定します。
「購買行動の流れ」
1.シーズが何か理由でニーズ(必要)に変化している
2.必要な理由(満足条件)
3.欲しい理由(満足条件)
4.購入する理由(満足条件)
たとえば、前ページのニーズ評価で例述した「食器」を購入した夫婦であれば、セールス・パーソンが「調理器具」の販売で訪問したはずなのに、「調理器具」ではなく「食器」が売れました。
この例の場合、「調理器具」と「食器」について上記の4つのニーズ分析のフレームに沿って分析しますと、セールス・パーソンが見込み客の自宅に訪問した時点では、見込み客のニーズは以下の様な状態でした。
「調理器具」
○ 1.シーズが何か理由でニーズ(必要)に変化している
? 2.必要な理由(満足条件)
? 3.欲しい理由(満足条件)
? 4.購入する理由(満足条件)
「食器」
? 1.シーズが何か理由でニーズ(必要)に変化している
? 2.必要な理由(満足条件)
? 3.欲しい理由(満足条件)
? 4.購入する理由(満足条件)
次に、セールス・パーソンのプレゼンテーションが終わり、誰かが「食器」と呟いた瞬間、ニーズは以下の様に変化しました。
「調理器具」
○ 1.シーズが何か理由でニーズ(必要)に変化している
○ 2.必要な理由(満足条件)
× 3.欲しい理由(満足条件)
× 4.購入する理由(満足条件)
「食器」
○ 1.シーズが何か理由でニーズ(必要)に変化している
△ 2.必要な理由(満足条件)
○ 3.欲しい理由(満足条件)
△ 4.購入する理由(満足条件)
セールス・パーソンがプレゼンテーションを行っている時、見込み客は「お金がありません」、「高すぎます」、「買えません」の3つの言葉しか言わないことから、見込み客は「調理器具」は必要でしたが、セールス・パーソンが提案した高級感がある高額な商品は欲しい商品ではないことが判りました。
しかし、誰かが「食器」と呟いた瞬間、それまで表面化していなかったウォンツの「食器」が表面化しました。
つまり、見込み客は「調理器具」には高級感がある高額な商品を望んでいませんでしたが、「食器」には、セールス・パーソンが提案するような高級感がある高額な商品を望んでいたことが判りました。
ここまでがニーズ分析です。
そして、見込み客のニーズは、以下の様な内容だと特定できました。
「必要な物」=「調理器具」
「欲しい物」=「食器」
●ニーズ評価
そして、次にニーズ評価をします。
ニーズの分析で特定しました、見込み客が「必要なもの」、「欲しいもの」の商品やサービスは、
購入 = 欲しいと思う感情の強さ(満足条件) > お金を失う感情(恐怖)の強さ
この関係式が成り立つことから、セールス・パーソンがアプローチする優先順位を決めるために、以下のポジショニングマップにどんな商品やサービスが該当するかマッピングします。
ただし、優先順位4にマッピングされた商品やサービスは、現時点では売れる可能性がないため、基本的にアプローチしません。
ここまでが、ニーズ分析 → ニーズ評価までの流れです。
●ニーズ解決
さて、ニーズ解決では、ニーズ評価で優先順位1にマッピングされた「食器」に対して、「我が社はこのような解決策(ソリューション)を提供します」と提案します。
つまり、「見込み客は我が社の商品やサービスを利用することで、どうなれるのか?」という提案をするのです。
ところで、あなたは、もう、ここまで来たら、なぜ、「我が社のこの食器を買って下さい」と言わないのか? と、思われたかもしれません。
しかし、よく、考えて欲しいのです。
たとえば、仮に、あなたが高級感のある高額な食器を購入するとします。
ところで、あなたが買う物は、本当に食器でしょうか?
その答えは、本当は、あなたが買う物は食器ではなく、実は「優雅な食事のイメージ」を買うはずです。
私たちは、誰一人として商品やサービスを買うのではないのです。
私たちが買うものは、商品やサービスが私たちにしてくれること、つまり、商品やサービスが私たちに提供する「解決策(ソリューション)」を買うのです。
ですから、セールス・パーソンは商品やサービスを販売の中心に考えるのではなく、解決策(ソリューション)を販売の中心に考えるべきなのです。
その商品やサービスが見込み客に何ができるのか?
なぜ、その商品やサービスが見込み客の役に立つのか?
その商品やサービスを使うと見込み客はどうなれるのか?
などを提案するのです。
そうすると、販売すべき商品やサービスがまるで変わるはずです。
たとえば、見込み客が、朝食にはさわやかさを求め、夕食にはくつろぎを求めているとしたら、朝食と夕食には別々の食器が必要になります。
このように、見込み客が「なりたい理想的なイメージ」に対して、セールス・パーソンは、解決策(ソリューション)を提案するのです。
以前、ブログの「セールス・パーソンの資質」のページで申し上げましたが、人間の神経系は、「イマジネーション」と「現実」とを区別することができず、人は「真実だとイメージしたこと」に従って行動し、反応するようにできています。
ですから、同様に、人は「なりたい理想的なイメージ」を実現するために購買活動をするのですから、セールス・パーソンは、見込み客の「なりたい理想的なイメージ」を実現するために必要な解決策(ソリューション)を提案するのです。
これが、セールスを成功させる4つの機能の3番目の「ニーズ解決」です。
では、次回は、セールスを成功させる4つの機能の4番目の「ニーズ充足」について解説致します。
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セールスを成功させる4つの機能
(2)「ニーズ評価」
●ニーズ評価
ニーズ分析を行い「必要なもの」、「欲しいもの」を確認した後は、見込み客が本当に欲しがっているものは何かを特定する必要があります。
その場合、商品が一点とは限りません。また、欲しい物の優先順位もあいまいです。
従って、セールス・パーソンがニーズを評価する時は、
1.見込み客が最も欲しい物は何か?
2.見込み客の欲しい物の優先順位はどうなっているのか?
以上の2点を確認し、見込み客が最も欲しい物から優先順位に沿って商談することが必要となります。
では、どのような基準で「最も欲しい物」を見つけ出し、見込み客の欲しい物の優先順位をつければ良いのでしょうか。
そのための方法として次の話が参考になります。
あるセールス・パーソンが調理器具の直販に携わっていた頃の話です。彼は、ある夫妻に調理器具のプレゼンテーションを行いました。
そして、プレゼンテーション用の料理を準備している間にその家にある調理器具を確認するチャンスがあり、その夫妻は、彼がこれから販売するつもりの調理器具を全く持っていないことが判りました。
セールス・パーソンは、その夫妻のニーズは非常に大きいと感じ、ほぼ二時間もかけて商談を成立させようとしました。
ところが、商談中の夫妻から出る言葉は、
「お金がありません」
「高すぎます」
「買えません」
のたった3つの言葉だけでした。
セールス・パーソンは仕方なく商談をあきらめ、その場を引き上げようとした時、3人のうちの誰かが無意識のうちに「食器」と一言つぶやきました。
すると、突然、夫人の目が輝いたのです。
「食器ですって? いいものがありますか?」と彼女は言ったのです。
セールス・パーソンは、「はい、もちろんです。世界最高級の食器を販売しております。」と答えたのでした。
30分もしないうちに、セールス・パーソンは、明らかに調理器具一式を超える金額の注文を手にその家を後にしました。ここで、考えていただきたいのです。
もし、本当に必要な調理器具一式を買う余裕がこの夫婦になかったのなら、なぜ、必要としない食器を買う余裕はあったのでしょうか?
その答えは、彼女は自分が欲しくない調理器具一式を買う余裕はなかったのですが、彼女が本当に欲しかった食器セットを買う余裕はあったと言うことです。
ここに重要なポイントがあります。
「人が自分の欲しいものを買う時は、お金を失う時に感じる感情(恐怖)よりも欲しいと思う感情が上回った時」なのです。
つまり、
購入=欲しいと思う感情の強さ>お金を失う感情(恐怖)の強さ
という関係が成り立つのです。
従って、この例からも判るように、セールス・パーソンがニーズの評価をする時は、下図のような優先順位1~4の順番で優先順位を決めてニーズを評価することが必要です。
では、次回はニーズ解決について解説いたします。
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セールスを成功させる4つの機能
(1)「ニーズ分析」
セールスを継続的に成功させるためには、ニーズ(必要)に対して、
1.分析 → 2.評価 → 3.解決 → 4.充足
この4つの項目に分けて、1から4の順番で行うことが必要です。
●ニーズ分析
セールス・パーソンはセールスを進めるにあたり、始めに見込み客のニーズを分析することから始める必要があります。
なぜかと言いますと、仮に、見込み客が自分からあなたの元にやって来て、商品やサービスを求めたとしても、その時点では、見込み客自身が自分が本当に欲しがっているものを正しく特定できていない可能性が大きいのです。
そこで、見込み客の内面にまで目を向けて、見込み客をCTスキャンで体内の画像を撮るように調査するのです。
すると、必ずと言っていいほど、表面に現れている「必要な物」ではなく、内面に隠れていた「欲しい物」(ウォンツ)が表面化してくるのです。
つまり、見込み客が欲しいものには、「必要な物」だけではなく、「欲しい物」もあり、どちらに対しても行動を起こすため、こうような調査から始める必要があるのです。
このように、セールス・パーソンは、まずは、ニーズ分析から商談を始めることで、「必要な物」、「欲しい物」の両方を確認することから商談を始めます。
ところで、この「必要」(ニーズ)と「欲しい」(ウォンツ)は何が違うのでしょうか。
欲しいけど必要がない商品、必要だけど欲しくない商品など何がどう違うのでしょうか。
ニーズ分析が終われば、「必要」(ニーズ)も「欲しい」(ウォンツ)も両方とも同じ顕在ニーズです。
ところで、人の欲求は、何かの要因によって、下図のような順番と流れで変化し、この流れに沿って購買へ向かいます。
だとすれば、「欲しいけど必要がない商品」は、どうなれば購入に至るでしょうか。
「欲しいけど必要がない商品」の場合、下図の流れを見れば判りますが、「必要(ニーズ)」と「購入」の2つの項目が欠落しています。
そこで、この欠落した「必要(ニーズ)」と「購入」の2つの項目に対して、
1.なぜ、必要なのか?(理由1)
2.なぜ、購入した方が良いのか?(理由2)
この理由1、2の2つの理由を見つけ出し、その説得(充足)に成功すれば購入に至る可能性があります。
また、「必要だけど欲しくない商品」なら、同様に
1.なぜ、欲しいのか?(理由3)
2.なぜ、購入した方が良いのか?(理由2)
この理由3、2の2つの理由を見つけ出し、その説得(充足)に成功すれば購入に至る可能性があります。
いずれにせよ、人が商品やサービスを購入に至るまでには、
1. 必要な理由(満足条件)
2. 欲しい理由(満足条件)
3. 購入する理由(満足条件)
この3つの理由(満足条件)が満たされている必要があり、さらに、潜在欲求(シーズ)が何かの理由によって顕在欲求(ニーズ、ウォンツ)に変化している必要があります。
つまり、人が何かを購入するには、下図の4つの全ての条件が満たされている必要があります。
では、次回は、ニーズ評価について説明したいと思います。
セールス・パーソンの資質
私たちが行動できたりできなかったりするのは、一般的に「意思」にその原因があると思われています。
しかし、それは真実ではありません。
たとえば、催眠術にかかった人にありありと見られる現象ですが、催眠術にかかった人が「いま、北極にいる」と言われれば急に震えだしたり、「いま、猛烈な暑さの赤道直下にいる」と言われれば急に暑がり出したり、極端な例では催眠術によるイメージ誘導だけで本当に火傷をする人すらいます。
同じような現象にプラセボ効果(自己暗示)がありますが、医者がただの水をよく効く薬だと患者に信じこませて(イメージさせて)その水を飲ませると病気が治ったりすることがあります。
このように人間の神経系は、「イマジネーション」と「現実」とを区別することができず、人は「真実だとイメージしたこと」に従って行動し、反応するようにできています。
つまり、人が行動できたりできなかったりするのは、「意思」にその原因があるのではなく、「真実だとイメージしたこと」に原因があり、人はそのような自己イメージに従った行動を無意識のうちにするようにできているのです。
同様に人生においても自分で描いた自己イメージに支配されるため、最終的にどのような人生を送るかは自分がどのような自己イメージを描くかによって、ほとんどが決まってしまいます。
ところで、セールス活動においても何かを達成できないのは「意思が弱い」と思われがちですが、前述からも明らかなように、それは真実ではありません。
セールス活動においてもほとんどの場合、何かを達成できないのは目標に対する「自己イメージ」が適切ではないことの方が多いのです。
●現実と等身大の自己イメージが自己実現を可能にする
自己実現の話でよくある疑問に「真実だと思える自己イメージを描けば、本当にその通りになるなら、自分がシンデレラだと心から信じれば、本当にシンデレラになれるのですか?」という疑問があります。
実際、シンデレラになった人は沢山います。
たとえば、オールトラップ子爵の三女として生まれたダイアナ・フランセス・スペンサーは、イギリスのチャールズ皇太子と結婚しました。
さらに、民間人のキャサリン(ケイト)・エリザベス・ミドルトンは、チャールズ皇太子の息子ウィリアム王子と結婚しました。
このようにシンデレラになった女性は他にも沢山います。
しかし、誰もがシンデレラになれるわけではありません。
同じようにIT業界でも、ビル・ゲイツのようになれると心から信じる人は沢山いますが、はたして、そうなれるのでしょうか。
実は、ここに一つのルールが存在しています。
たとえば、ビル・ゲイツは大学を卒業しておらず、変わり者だと言われることがあります。
しかし、ビル・ゲイツについて少し調べて見ると、確かに母校のハーバード大学を休学したまま卒業していませんが、日本では立教大学や早稲田大学から名誉博士号を授与されています。
また、倹約家としても有名で、たとえば、仕事で飛行機に乗る時はエコノミークラスを利用します。少し調べただけでもビル・ゲイツは噂とは違いレベルの高い学識や良識を備えている人物であることが判ります。
つまり、シンデレラになれると信じても実現しない人、ビル・ゲイツのようになれると信じても実現しない人など、そもそも実現できない妄想を描いてしまう人には共通の勘違いがあるのです。
それは、自分が自己実現をするために必要な条件を持ち合わせていないことを見落としているのです。
理想的な自己イメージを描いただけでは、単なる妄想にしかすぎません。
なぜなら、シンデレラになるためにはシンデレラであるための条件、ビル・ゲイツになるためにはビル・ゲイツであるための条件といった客観的に見ても納得できるような条件を備えていて、はじめて自己実現ができる可能性があるのです。
自動車の運転には最低でも運転免許が必要なように、自己実現をするには「真実と確信できる理想的な自己イメージ」と「自己実現に必要な条件を備えている」こと、この2つが揃っていることが必要な条件です。
また、この自己実現の関係を標準化すると、
自己実現 = 自己イメージ + 自己イメージ
の必要条件を満たせる
このような関係でなりたっています。
同様に目標を達成することも全く同じです。ですから、本当に成果をあげているセールス・パーソンは、
1 目標を達成できる明確な自己イメージ
2 目標を達成するための必要条件を満たしている
この2点の条件を持ち合わせた上で、常に情報にアンテナを張って、新たな機会に集中した行動をとっているのです。
これが、本当に成果をあげているセールス・パーソンの真実の姿なのです。
次回は、これらのセールスの仕組みについて説明したいと思います。
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●セールスの本質について
その昔、アリストテレスは「同じ物質でできた二つのおもりを手に取って落とせば体積の大きい方(重いおもり)が速く落ちる」と言いました。
そしてピサ大学では長年そう教えてきました。
ところが何年か後、ガリレオが登場し、それを完全に否定しました。
ガリレオがピサの斜塔の頂に登り、同じ物質でできている体積(重さ)が明らかに異なる二つのおもりを下に落とすと、それらは全く同時に地面に落ちたのです。
こうしてガリレオは自分の主張が正しいことを証明しましたが、大変興味深いことに、ピサ大学ではその後も体積の大きいおもり(重いおもり)が速く落下すると教え続けたのでした。
これは、いったい何を意味しているのでしょうか。
確かにガリレオは自分の主張が正しいことを「納得」させることはできましたが、人の思い込みを消し去るような強力な「説得」は、できなかったということを意味しているのです。
セールスは「どうやって顧客を説得するか」です。
そして、その最たる方法論は、顧客に正しい主張をして自分の意見で折伏(しゃくぶく)するのではなく、適切な方法で適切な質問をすることにより、顧客のニーズやウォンツを引き出し、それらに沿った誠実で最適な提案によって説得するのがセールスです。
かつて、ピーター・F・ドラッカーは、マネージャーにとって最も重要な資質とは才能ではなく真摯さ(首尾一貫性)であると語りましたが、同様にセールパーソンにとって最も重要な資質とは才能ではなく「誠実さ(首尾一貫性)」です。
誠実さのないセールス・パーソンは、製品と何ら関係のないことで人の注目を集め、メリットを大げさ、あるいは偽って話し、顧客が本来、必要としていない商品を高額な値段で買わせようとします。
その最たる者には、インターネットや少し暗い個室に顧客を誘い込み、その閉ざされた空間の特徴を利用した色仕掛けや思わせぶりなプロモーションでバイアスかけて高額な商品を販売しようとする劣悪な人物すら現実に存在します。
人は嘘で偽った行動を取り続ければ、人の行動原理通り、嘘と真実との相克が起き、そのおかしな言動や行動から相手(顧客)にいづれは嘘を見破られ、信頼を失い、そして取り返しのつかない事態に陥ります。
しかし、誠実(首尾一貫)であれば、恐れるものは何もありません。
なぜなら、隠すべきものが何もないからです。
誠実(首尾一貫)に物を売る(仕事をする)ということは、同じ商品を同じ人々に売りながら同じ会社で長期的にキャリアを積み重ねることができる唯一の方法です。
そして、そのことが販売実績を安定させ、経済面での安心をもたらすことになります。
こういった活動こそがセールスの本質だと思います。
では、次回は、このような本質を踏まえたセールスを行うあたり、どのような手順で進めればよいか、体型的にフレームワークに沿って説明いたしたいと思います。
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ダン・S・ケネディーのマーケティングの実例
上の「お客を集める公式:ダン・ケネディー『3つのM』」という動画について、解説と捕捉をしたいと思います。まず、動画のタイトルの3Mとは、
1、メッセージ
2、マーケット
3、メディア
のことを3Mとダン・S・ケネディーは言っています。
そして、1のメッセージでは、「顧客を釘づけにするメッセージ」の重要性について、2の「マーケット」では、1の「顧客を釘づけにするメッセージ」ができたら、「それを誰に届けるか?」について説明しています。
この、誰? ですが、ここを少し捕捉します。
まず、買うか買わないか判らない不特定多数を対象としたマスマーケティングをするのではなく、顧客、見込み客だけを対象としたセグメントマーケティング(ターゲットマーケティング)を行えということを彼は主張しています。
次に顧客をランク付けするように言っていますが、顧客ランクを決める時は、一般的には経理が行うABC分析※で、顧客ランクを決めます。
(※ABC分析とは、売上高を基準にした顧客の分析方法で、たとえば、1年間のトータルで売り上げが多い順に顧客を上から並べていき、上から売上全体の80%までの顧客をAランク、残り80~95%(15%)までをBランク、残り5%の顧客をCランクとして、顧客をABCの3つのグループに分類する分析方法)
しかし、彼の主張は、そうではなく、データーベースマーケティングで行うような、POSデーターで、時間軸を基準として、最近頻繁に買う顧客と、過去に買った顧客と2種類に分けるように指示をしていますが、正確には、最近頻繁に買う顧客(AAA)、ある程度定期的に買う顧客(AA)、過去に買った顧客(A)の3種類でランク付けをします。
そうすると、顧客をABC分析でも購買頻度のどちらの方法でランク付けしても、年間の売り上げだけで見れば、同じようなランク付けの結果になるように思えますが、決定的な違いが一つあります。
ABC分析は、一定期間の顧客の売上高しかみませんから、顧客のデモグラフィック情報(属性)まで判りません。
ところが、データーベースマーケティングの方は、基本的にPOSデータタイプの情報ですから、顧客の性別、年齢、職業、メールアドレス、携帯電話番号、住んでいる地域、趣味、嗜好など、顧客のデモグラフィック情報(属性)と購買頻度でランクづけしますので、ABC分析で言うA、B、Cランクの人は、どんな人?という顧客のデモグラフィック情報(属性)も判ります。
このデモグラフィック情報(属性)が、すごく重要な情報となるのです。
よく、企業間の取引には、こういったデモグラフィック情報(属性)は、あまり重要ではないと、言う方がいますが、そんなことはありません。
企業を人と見立れば、顧客(会社)の業種、従業員数、所在地、資本金、事業所の数、男女比率、営業時間帯、取引先・・・ など、ABC分析で言うA、B、Cランクの会社は、どんな会社? という情報は重要な情報です。
では、このデモグラフィック情報(属性)を何に使うのか?
実は、このデモグラフィック情報(属性)は、動画で解説している通り、見込み客を探す時に使うのです。
たとえば、AAAランクの顧客の7割は、サッカー雑誌を購入するということが分かれば、サッカー雑誌を買う人のリストを手に入れて、その中からAAAランクの顧客と同じ条件を満たしている人達を見つけ出し、その人達にセールスレターを送ればよいと言うように、今いる顧客の共通した特徴を見つけ出し、その特徴から、新たな顧客を探し出すことに役立てます。
そして、次に2(3)種類の顧客に合わせた「顧客を釘づけにするメッセージ」を作り分けるように指示をしています。ですから、見込み客を含めると、「顧客を釘づけにするメッセージ」は、3(4)種類必要になります。
ここまでをまとめますと、
1 「顧客を釘づけにするメッセージ」を作る
2 顧客のデモグラフィック情報(属性)から、「顧客を購買頻度に沿って2(3)種類にランク付けをする」 顧客のデモグラフィック情報(属性)から、見込客を特定する 「顧客を釘づけにするメッセージ」を3(4)種類に作り分ける
となります。
そして、最後の3番目のMのメディアです。
これは、どんな内容かと言いますと、2(3)種類のランクの顧客と見込み客に最適なメディアを使ったアプローチをするように指示しています。
たとえば、AAAランクの顧客に、電話やメールで仕事の催促をするのは失礼なので、表敬訪問をするとか、見込み客には、まるで映画を見るような3ステップでステップアップして行くストーリー性のあるセールスレターを郵送するとか、アプローチする相手から好まれる方法論を取るように指示をしています。
また、たった1回だけで終わるようなアプローチではなく、何回かに別けて効果的なアプローチをするように指示をしています。
以上が動画の解説と捕捉ですが、いずれにせよ、この動画はマーケティングをする上で最も基本となる重要な方法論ですので、是非、動画を何度も見て復習し、いつでも実行できるようにすることをお勧めします。(
http://youtu.be/8CIdJVyaSJU)
「創造的マーケティング戦略」
ポジショニングの法則
「スカイプ音楽教室の問題を解決するインターネット音楽教室の始め方」
こんにちは。今回は、スカイプ音楽教室の問題を解決するインターネット音楽教室の始め方について説明いたします。
まず、現在、巷に溢れるインターネットとスカイプを使った音楽教室には、大きな問題が3つあります。
1 音が映像より遅れて聞こえるため、普通に会話もできないし(やまびこのような状態で会話する)、映像よりも音が遅れて聞こえるため、運指と音がずれて放送され、何をやっているのかさっぱりわからない。
2 音が1人しか出せないため、アンサンブルができない。たとえば、生徒がメロディーを演奏して、先生がいっしょにコードを弾くといったことができない。
3 黒板のような機能がないので、授業中、楽譜を書いて示すことすらできない。
この3つの問題だけでも、現在、巷に溢れるインターネットとスカイプを使った音楽教室の教育環境は、既存の通学する音楽教室より、教育環境がよくありません。
また、音楽教室に限らず、英会話や学習塾などの教育系のスカイプ教室も同じです。
スカイプ教室の体験授業を受けたことがある方は、良く分かると思いますが、近所に良い先生がいたら、そちらへ通学した方が現実的です。
ただし、こういったスカイプ教室の教育環境でも、たとえば、中学生対象の美術、(音楽)、技術・家庭科、体育のテスト勉強をサポートするスカイプ教室といった、既存の通学する教室に、ないものなら、少しはスカイプ教室でも成功する可能性がありますが、既存市場にないのですから、ビジネスとして成り立つのか? 慎重な調査と判断が必要です。
スカイプ音楽教室は、現在、このような状態ですが、ところが、スカイプ音楽教室の問題は、ビデオ通話市場に後続参入した企業の無料製品と、音楽業界の通信技術により、次のように解決することができます。
まず、スカイプの代替品であるビデオ通話市場に後続参入した企業の無料製品は、問題3を解決する黒板(デスクトップやアプリケーションを共有できる)があるので、その機能を使えば、黒板の問題が解決します。
また、ビデオ通信をネット上で自動録画する機能もあるため、ビデオ通信で録画した動画を見れば、復習もできます。
次に、スカイプの問題1の音の遅滞(タイムラグ)と問題2のアンサンブルは、無料、有料の2つの解決策があります。
無料の方は、アプリケーションで、有料の方は、ハードを購入するものです。
両方とも確かめましたが、品質は無料の方が良く、無料のアプリケーションで問題解決した方が得策です。ただし、両方ともアンサンブル(ジャムセッション)は、最大4人までです。
また、この無料のアプリケーションは、音楽メーカーが提供していることもあり、音質がCDと同等の音質ですので、先生同士がジャムセッションをした場合、その音声動画を手軽に商品化することもできます。
つまり、ビデオ通話市場に後続参入した企業の無料製品と音楽業界の通信技術を組み合わせると、スカイプ音楽教室の3つの大きな問題であった、
1 音の遅滞
2 アンサンブル(4人まで)
3 黒板がない
を解決し、さらに、
1 授業を録画して復習ができる
2 ジャムセッションでプロ同士なら商品化も可能
と、新たな2つの魅力が提示できます。
つまり、これらをマーケティング的に言えば、今回の事例のようなインターネット音楽教室は、インターネットとスカイプを利用した音楽教室の3つの大きな不満要因を解決し、さらに、新たな2つの満足要因を提示できます。
そこで、今回の事例のインターネット音楽教室と既存の通学する音楽教室を顧客視点で比較してみます。
今回の事例のインターネット音楽教室が、既存の通学する音楽教室より優れている点をマーケティングの7Pに沿って書き出しますと
、
1 製品は? CD音質に音質が向上。音声動画で復習ができる。
無料でジャムセッションができる。音声動画の商品化が容易にできる。
2 価格は? 教育費が同じなら交通費がない分、安い。
3 場所は? 全国どこでも授業が受けられる。
4 製品情報は? インターネットなので、欲しい時に手に入る。
5 講師は? 様々な個性の講師が選べる
6 受講のしやすさは? 自由度が多く受講しやすい。
7 信用度は? 講師が選べるので、期待できそう。
このようになります。
次に上記の1~7をスカイプ音楽教室と比較すると、2~7は、スカイプ音楽教室も同じです。
つまり、今後、今回、事例として取り上げた様な、ビデオ通信市場に後続参入した企業の無料製品と音楽業界の無料通信技術を組み合わせれば、新たなインターネット音楽教室では、従来の通学する音楽教室やスカイプ音楽教室と比べると、
1 授業の音質がCD音質に向上。
2 音声動画で復習ができる。
3 インターネットでアンサンブルができ、無料でジャムセッションもできる。
4 プロ同士のジャムセッションなら音声動画の商品化が容易にできる。
この4つの特徴が新たなセールスポイントとなります。
もし、あなたが、これから音楽教室に通う場合、既存の通学する音楽教室? スカイプ音楽教室? 新たなインターネット音楽教室? この3つのどの音楽教室を選びますか?
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ポジショニングの法則
「2013年から始まった個人や小規模な事業所の大きなチャンス」
こんにちは。 前回、スカイプを代表としたビデオ通話(インターネットのテレビ電話)の市場は、後続企業の参入により、導入期から成長期へと移行し、今後、市場が大きく成長する時期になったことをお伝えしました。
つまり、これから、この市場の影響で、多くの業界に大きなチャンスが訪れます。
そこで、今回は、まだ、競争が激しくないうちに、個人や小規模な事業所が、このチャンスを生かす方法について、お伝えします。
さて、スカイプは、無料と有料との2種類の利用方法がありますが、
無料で使っているユーザーが有料へ切り替えるきっかけの1つが、海外への電話です。
スカイプは、海外へのビデオ通話は有料ですが、ところが、後続参入してきた企業の無料サービスは、米国とカナダからのビデオ通話は無料です。
このことだけでも、スカイプをやめて、後続企業のサービスに乗り換える理由になります。
それ以外にも、ビデオ通話している音声動画画像をそのままユーチューブに保存できることで、プロモーションや復習学習への利用が可能。
遠隔操作でビデオ通話している相手のPCの設定ができる技術サポート機能など、例をあげれば、きりがないほど、スカイプユーザーの不満を解決し、新たな魅力を提供しています。
市場の成長期には、このような後続者が参入してきて、先駆者の顧客を根こそぎ持っていくだけではなく、新たな魅力で、先駆者の商品やサービスを使ったことがない新規ユーザーも大量に連れてきます。
個人や小規模な事業所が、この市場で競争することは現実的ではありませんが、先駆者の商品やサービスに不満をもっているユーザーや、後続者のサービスを新たに使うユーザーを自社の顧客として、取り込むことができます。
たとえば、PCのアプリケーションソフトを販売しているのなら、インストール時の障害や、利用時の障害を軽減するために遠隔操作で顧客のPC環境を整えるカスタマーサポートを始めるなど、ビデオ通信市場の変化に便乗して、自社の競合他社にはないサービスを始めることで、競合他社との差別化を図り、新たな顧客を獲得できる可能性が拡がります。
あるいは、開業医なら、診療時間外の問診や相談に利用することで、より品質の良い医療活動ができ、新規顧客を獲得したり、顧客の流出を防ぐためにも使えます。
このように、個人や小規模な事業所が、成長曲線を描くためには、今、成長期にある市場を見つけ出し、その市場がどのような理由で導入期(市場創出期)から成長期へ変化したのか、その理由を特定して、後続者の商品やサービスを取り入れることで、自社のいる市場で競合他社と差別化が図れれば、成長曲線が描けます。
そして、イノベーションした市場の後続者の成長とともに自社も成長して行きます。
はっきり言えば、限りなく100%近くの個人や小規模な事業所は、このような方法以外で成長曲線を描くことはできません。
では、次回は、より具体的に「今から個人がインターネットで、スカイプ・ピアノ教室には出来ないピアノ教室を限りなく無料で開業する方法」についてお伝えします。
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ポジショニングの法則
「市場の後続者は市場を成長期へと導く」
こんにちは。今回は、ポジショニングの法則「市場の後続者は市場を成長期へと導く」ということについてお伝えしたいと思います。
市場に新たに参入する後続者は、先駆者と比較した時に、先駆者にない2つの解決策が市場に参入するための条件となりますが、しかし、それだけでは、ビジネスは成り立ちません。
そこで、その対策として、2つの成功要因に沿ったマーケティングを行うことが必要です。今回は、その2番目の成功要因について説明いたします。
では、早速、その成功要因を見ていきましょう。
前回お伝えしたように、市場の後続者は、先駆者が作った顧客の不満の解決策と自社が提供する顧客の新たな満足要因の2つの解決策を提示することが市場に新規参入する条件となります。
しかし、先駆者からすると、そんな事されたら、たまったもんじゃありません。
たとえば、スカイプであれば、スカイプには無料ユーザーと有料ユーザーと2種類のユーザーがいます。
スカイプのマーケティングは、いたってシンプルなマーケティングで、
無料ビデオ通話 → 有料ビデオ通話
この流れを創ることで、顧客を獲得しています。
つまり、無料ビデオ通話で大量の見込み客候補を創り、そのうちの何%かが顧客になるという、シンプルなマーケティングです。
では、スカイプが創ったビデオ通話の市場に後続者として参入する場合、どのような具体的な条件が必要でしょうか?
その条件が、前回、説明しました2つの解決策です。
つまり、スカイプユーザーの不満の解決策、スカイプユーザーの新たな満足要因の2つの解決策が提示できることが、後続者の参入条件です。
1 不満要因の解決策
2 新たな満足要因の解決策
この2つの解決策です。
実際、この競争が既に始まっています。特にスカイプの無料ユーザーは、根こそぎ後続企業の無料サービスに乗り換える可能性が高いですね。
後続企業の解決策を概略的にお伝えしますと、
1 スカイプの有料サービスを無料で提供
2 ユーザーに新たなビジネス機会を提供
3 インストール不要など、PCの知識が殆ど必要ない
この3点です。
つまり、ビデオ通話市場は、初期の段階では、個人向けの単純なビデオ通話でしたが、後続者の参入により、PC知識が殆ど必要ない、便利なビジネスツールに変化したのです。
つまり、顧客の属性が、
個人 → 個人+法人
へと、後続企業が市場をイノベーションさせました。
そして、ビデオ通話市場は、市場の導入期が終わり、いよいよ成長期が始まりました。
市場に後続者として参入する成功要因の2つ目は、ここです。
「先駆者が創った市場」に「後続企業の解決策」で「新たな顧客を連れて来る」
このマーケティングが出来れば、後は、余程のことがない限り、後続者の勝利は時間が解決してくれる訳です。
そして、この市場のイノベーションは、小規模事業所に大きなチャンスを生み出します!
小規模事業所は、この大きなチャンスを生かし、この大きなトレンドの変化に乗って、新たな価値が生み出せれば、市場の成長と共に大きく成長できるのです。
では、次回は、小規模事業所が市場の成長期のトレンドに乗るマーケティング戦略についてお伝えしたいと思います。
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ポジショニングの法則
「市場の後続者は、先駆者の罪を償う」
こんにちは。今回は、ポジショニングの法則「市場の後続者は、先駆者の罪を償う」ということについてお話ししたいと思います。
前回、殆どのビジネスパーソンは、市場で後続者として参入し、巷に溢れる、ほとんど差別化できない、似たような商品やサービスを取り扱うビジネスを行うことになると申しました。
しかし、その打開策として、市場の後続者には、2つの成功法則があり、その2つの成功法則に沿ったマーケティングができれば、市場に後続者として参入しても成長が見込めます。
では、早速、その成功法則を見ていきましょう。
まず、市場に後続者として参入する場合、最大の問題は、後続者は先駆者と違い、初めから顧客に偽物(類似品)を販売するレベルの低い業者として、バイアスのかかった状態で扱われます。
ですから、後続者は、先駆者と同じような商品やサービスを販売すると、物真似をする偽物として扱われるため、初めから商品やサービスを販売する難易度が先駆者より高いのです。
まず、この問題の解決策を市場に参入する前に用意しておく必要があります。
そして、その解決策が、2つの成功法則の一番目となる、先駆者が生み出した顧客の不満を、最初に解決することなのです。
つまり、市場で先駆者が顧客にした罪を後続者が償うのです。これは、後続者の宿命ですので、後続者は、それが出来なければ、参入した市場で生き残ることができません。
たとえば、無料通話なら、市場の初期は、「無料通話=スカイプ」というイメージでしたが、現在は、様々な企業が参入しています。当然、後続で参入した企業は、スカイプを利用している顧客が持つ最大の不満の解決策がなければ、同じ市場で生き残れません。
つまり、スカイプが市場で行った罪を後続の企業が償うのです。これができて、初めて後続の企業は、スカイプと同じ市場に存在する企業として、顧客から受け入れられます。しかし、それだけでは、新規顧客は獲得できてもスズメの涙です。
そこで、次に、後続の企業は、自社の強みを生かして、もともとスカイプが出来ないことで、ニーズが高い内容を取り込みます。
後続の企業は、顧客に、この2つの解決策が提示できて、初めてスカイプと同じ無料通話の市場で競争できるのです。
まとめますと、市場に参入する後続の企業は、
1 先駆者企業の顧客の最大の不満を解決できる。
2 先駆者企業にはない自社だけの魅力(USP)がある。
この2つの解決策の実現ができることが、市場に後続者として参入するための条件となります。
ところで、この条件だけを満たした後続者が市場に参入した場合、実際、新規顧客をどの程度獲得できるかと言いますと、結局のところ、先駆者企業を利用している顧客で、先駆者企業に対して強く不満を抱いている顧客の何%かが、乗り換えてくるだけです。
つまり、後続企業が生き残るためには、もう一つ成功法則を実現する必要があるのです。
では、次回は、その2つ目の成功法則について、お伝えいたします。
PS
以下のサイトでは、無料通話アプリを顧客が比較した意見が書かれています。理解を深めるための参考にしてください。また、後続者の参入条件の2つの解決策に照らしあわせるだけで、今後、どの企業が伸び、どの企業が撤退しそうか、はっきりと認識できます。
無料通話アプリの比較ページ
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ポジショニングの法則
「市場は物真似を嫌う」
●ポジショニングの法則「市場は物真似を嫌う」
こんにちは。今回から、何回かに渡って、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)に焦点をあてた話をしたいと思います。
さて、今回は、STPの第一番目として、ポジショニングについてです。タイトルにもあるように、「市場は物真似を嫌う」のですが、要は、市場において、先駆者は、本物として扱われ、後続者(模倣品(類似品))は、偽物として扱われるということです。
このことは、誰もが知っている周知の事実ですが、ところが、どんな業界でも、不思議と市場には、模倣品が溢れ返っています。
なぜ、このような現象が起きるかも周知の事実ですが、模倣品が市場で溢れ返る理由は、どんな業界の市場でも先駆者になるには、参入障壁があまりにも高いのです。
たとえば、先駆者は、ニッチ市場(未だにニーズが満たされていない隙間市場)でマーケティングを行うため、商品やサービスが売れるまでに、後続者より多大なコストや時間がかかる上、市場が成長しだすまでは、商品やサービスが売れても、スズメの涙ほどの売り上げしかなく、商売として成り立たないことが殆どです。
このような理由から、多くのビジネスパーソンは、先駆者のポジションでビジネスを行うことはなく、後続者のポジションでビジネスを行うことになります。
要するに、殆どのビジネスパーソンは、巷に溢れる、ほとんど差別化できない、似たような商品やサービスを取り扱うビジネスを行うことになるのです。
後続者のポジションは、市場が成長期の初期の段階では、あまり競争も激しくなく良いのですが、市場の顧客に商品が行き渡った円熟期や、顧客の関心が他の商品に興味が移る衰退期になると、もともと薄利多売で経営体質が脆弱なビジネスのため、事業継続の危機が短期間に訪れるようになります。
また、もう一つ、大きなやっかいな問題として、後続者は、先駆者と違い、初めから顧客に偽物(類似品)を販売するレベルの低い業者として、バイアスのかかった状態で扱われます。
つまり、後続者は、先駆者と同じような商品やサービスを販売すると、物真似をする偽物として扱われ、商品やサービスも殆ど売れません。
しかし、ほぼ100%のビジネスは、ゼロから始める先駆者のビジネスではなく、今あるものをベースに、1から2にするための後続者としてのポジションでビジネスを行います。
そこで、次回は、後続者のポジションの2つの成功法則について、お伝えしたいと思います。
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我が社が生き残るための
ミクロ環境(業界環境)の競争戦略
(3) 社長の仕事(使命)とは何か
こんにちは。前回お話ししたように、市場の成功要因である、占有率、認知度、好感度という三種の神器は、占有率を上げることで認知度が高まり、新規の見込み客に自社の存在に気づいてもらうことができます。
そして、その時に好感度がよければ、話が進み、ようやく、見込み客が自社と競合他社を比較してくれるようになります。
ですから、まずは、市場(競争環境)の成功要因が満たせなければ、問い合わせの電話もありませんし、見積りすらきません。
なぜなら、見込み客は、自社の存在すら知らないわけですから。
このことは、気づいているようで、気づいていない方が大変多く、新規顧客の開拓は、まずは、好感がもてる自社が存在することに気づいてもらうことに全力で取り組む必要があり、これが出来なければ、何も始まらないのです。
ところで、このことは事業規模が大きく有名な会社には関係がないと、きっぱり言う方がいますが、明らかに誤認です。
なぜなら、事業規模が大きく有名な会社の実態は、小さな会社もしくは事業部が寄せ集まってできているのです。
ですから、よくある話ですが、全体の事業規模が大きな会社で事業部の対象を決めずに希望者を募って全社研修をすると、必ず研修に来た人たちが同じ会社名、あるいは関連会社なのに、研修参加者同士が名刺交換をして自己紹介から研修が始まるのです。
そして、まるで営業活動に来たように、研修参加者同士が研修そっちのけで、営業活動を始める人が多いです。
つまり、研修に来る目的が人脈づくりや営業活動に変化してしまうのです。
もちろん、そういった行動も大歓迎ですが、こういった行動からも判るように、多くの方がイメージしている有名な大きな会社といったものは、このようなもので、事業規模や知名度というのは、人脈づくりや営業活動ではあまり関係ありません。
事業規模が大きな会社は、対象とした市場規模が大きいことが前提になっているだけで、そんなもんです。
やることは事業規模に帰属しません。全く同じです。
また、同じようにコトラー先生の本は、大手企業向けに書かれた本で、個人事業者や小さな事業所の人がいくら読んでも、あまり参考にならないといった戯言を言う人もいますが、そういった発言は、企業経営が何かを全く知らない人の無責任な発言です。
ただ、事業規模による特徴が多少異なり、事業規模が大きい時は、規模の経済性を活かしてマーケティングの成功要因に重点を置いた行動をとることが多くなりますが、事業規模が小さい場合、無名の企業である可能性が高いため、市場の差別化要因に重点を置いた活動をすることが多くなるという特徴の違いはありますけど、基本的にやることは同じです。
さて、特に今回お伝えしたいのは、成功要因を創るための条件ということで、新規顧客は誰が創るのか? ということです。
こういった質問をすると、おそらくほぼ100%の人は、新規顧客は営業部員が創ると言うと思います。
しかし、特に一倉定先生に洗礼された方なら、そんなことを言うと「ボンクラ!」と言われて叱られると思いますが、明らかに違います。
顧客を創るのは、唯一、社長の仕事です。
社長の仕事とは、顧客を創るのが最も重要な仕事で、それ以外の仕事は、基本的に仕事としては優先順位が低く、極端に言えば、それ以外の仕事は社長本来の仕事ではないのです。
もちろん、事業規模が小さければ、それ以外にもやらなければならないことが沢山ありますが、しかしながら社長の仕事とは自社の顧客を創造することが社長本来の仕事なのです。
このことが理解できない2代目社長があまりにも多い。
特にお父さんが起業した会社で、息子さんがその会社を継承できない時は、ほぼ100%と言ってもいいほど、このことを理解していないのです。
そして、何らかの作業に集中しだしたり、マーケットリサーチすらしないで、売れる見込みのない自社製品を作ったりして、だいたい5年以内にお父さんが苦労して育てた会社を潰すのです。
是非、この機会に、社長の仕事(使命)とは、顧客を創造することであると認識してください。
これは、企業の使命と同じですが、企業の使命とは何かと問われれば、それは、顧客の新たなニーズに沿った市場を創造することですが、同様に社長の使命とは何かと問われれば、それは、自社の顧客を創造することなのです。
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我が社が生き残るための
ミクロ環境(業界環境)の競争戦略(2)
こんにちは。
早速、今回から、ミクロ環境(業界環境)のマーケットリサーチについて見ていきましょう。
まず、そもそも、ミクロ環境(業界環境)のマーケットリサーチは、どんな目的で行うのかと言いますと、結局のところ、自社の強みと弱みを知ることにつきると思います。
マクロ環境のマーケットリサーチでは、自社の新たな事業機会と脅威を洗い出すのがマーケットリサーチの目的でしたが、ミクロ環境(業界環境)のマーケットリサーチでは、自社の強みと弱みを洗い出すのが目的となります。
この自社の強みと弱みというのは、どうやって知るのかと言いますと、様々な方法論が言われていますが、最もポピュラーなのが3C分析と言われる分析方法です。
3C分析とは、
1.「顧客(Customer)」
2.「競合(Competitor)」
3.「自社(Company)」
この3つ(3C)の情報から成功要因(KSF key success factor)を見つけ出し、自社の「強み」「弱み」を特定するための分析です。
そして、成功要因は、次の10の要因に分類されます。
・市場の成功要因
1.マーケットシェア(市場占有率)
2.マインドシェア(顧客認知度)
3.ハートシェア(好感度)
・マーケティングの成功要因
4.製品(商品、サービス)
5.価格
6.流通(場所)
7.プロモ-ション
8.人(販売スタッフ)
9.業務プロセス
10.物的証拠
それでは、今回は市場の成功要因について見ていきましょう。
まず、マーケットシェア(市場占有率)とは何かと言いますと、要は、自社が市場で、どの程度、市場を独占しているかを示した割合です。
たとえば、市場に競合他社がいなければ占有率は100%です。
また、市場に競合他社が1社以上いて、市場全体で年間、100個商品が売れたとします。
売れた100個の商品のうち、50個が自社の商品なら、自社の占有率は50%です。
このようにして、占有率を求めることで、市場で企業間にどのような力関係が存在するかを見るための指標となるのが市場占有率です。
一時期、市場占有率は、企業の新規商品の商品販売力とあまり関連性がないと言われていた時期がありましたが、実際はそんなことはなく、市場占有率は、企業の新規商品の商品販売力そのもので、市場占有率が高ければ高いほど、新たな商品の売り上げも伸びます。
たとえば、インターネットで商品を売る場合で見てみましょう。
仮に、顧客はヤフーやグーグルでキーワード検索をして上位20番以内に表示されるコンテンツ内の企業の販売サイトで商品を買うとします。
そして、キーワード検索をした時に、上位1番から10番までが自社のコンテンツであれば、占有率は50%で、売れる可能性も高まりますが、上位20位以内に1つも自社のコンテンツが表示されなければ、占有率は0%で、商品が売れる可能性すらありません。
よく、この検索エンジン対策では、上位表示されることが大切だと言う人が星の数ほどいますが、それだけでは片手落ちで、上位表示できるのなら、上位20位以内の占有率を上げることも重要なのです。
これは、なぜかと言いますと、占有率が上がれば、当然、顧客の認知度も上がるからです。
つまり、市場の成功要因であるマーケットシェア(市場占有率)が上がれば、自動的にマインドシェア(顧客認知度)が上がるのです。
これに成功できれば、後は、ハートシェア(好感度)を上げる努力をすればいいのです。
インターネット販売では、ハートシェア(好感度)はデザインであったり、誠実な内容であったりと様々な要素がありますが、要は、サイトを見て顧客が何らかの好感(信用)がもてる販売サイト作りができていればいいのです。
このように、市場の成功要因とは三位一体で、どれか一つが実現できれば良いというものではなく、まず、市場に参加する(上位表示させる)ことができたら市場での3つの成功要因、つまり、占有率、認知度、好感度を同時に上げることが必須です。
占有率は、新規顧客の開拓は、インターネット以外なら、一倉定先生が言うように訪問回数であったり、訪問件数です。
まず、これを実現しなければ、価格や品質を改善してマーケティングの成功要因に着手したところで、全く意味がありません。
なぜなら、顧客は我社の存在すら知らないのですから。
では、次回は、マーケティングの成功要因について見ていきましょう。
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我が社が生き残るための
ミクロ環境(業界環境)の競争戦略(1)
こんにちは。 前回までで、マクロ環境(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境)のマーケットリサーチについて、お伝えしました。
今回からは、ミクロ環境(業界環境)のマーケットリサーチについて見ていきましょう。
何の話? とならないように、概要をお伝えしますと、ビジネスをしていく上でマクロ環境(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境)が、どのように変化するかで顧客のニーズががらりと変わってしまい、ビジネスをしていく上では、その変化が何かを見極めることが重要だという話を前回まででお伝えしました。
たとえば、今は安倍政権が支持率70%を超えてアベノミクスがうまく機能しているようにマスコミで報道されることが多いですが、実態経済にどの程度良い影響があるかと言うと、? となっています。
その辺りをエコノミストで同志社大学大学院ビジネス研究科の浜矩子教授は「アベノミクスは”アホノミクス”」だと述べ、「グローバル市場の到来以前に逆行している」「時代錯誤的だ」と批判しています。
アベノミクスでは、経済政策として成長戦略を主張して、経済規模を拡げることを唱えていますが、浜矩子教授は日本の経済は成熟していて成長戦略ではなく成熟戦略をとるべきで、今ある経済規模を如何に効果的に分配していくかを考えるべきであるという主張です。
こういったマクロ環境の動向はミクロ環境(業界環境)に大きく影響しますので、ビジネスを成功させたければ、こういった情報は当然、収集して、自社にどのような事業機会と脅威があるかを知る必要があります。
経済規模を拡げたり分配したりということは、一企業ができることではありませんが、マクロ環境の動向に合わせて自社が何を選択して、どんなことに集中すればよいかは、こういった情報がなければ判断のしようがありません。
では、ミクロ環境(業界環境)とは何かについて見ていきましょう。
ミクロ環境(業界環境)とは、要は自社が参加している業界の環境(状況)の事です。
たとえば、IT業界、出版業界、家電業界など、同じ産業や商業に関係する人々のグループや企業がどのような活動をしていて、どんな状態なのか? といったことを総称してミクロ環境だとご理解ください。
そして、市場の競争環境(外部環境)において重要な戦略分析は、ファイブフォースアナリスですが、その5つの力の分析でも競合他社との競争力を分析する3C分析は特に重要な分析です。
ミクロ環境のマーケットリサーチでは、まずは、業界内での5つの力の分析をして自社の競争戦略を策定し、実践することになります。
では、実際どのようなことなのか、次回から事例に沿って見ていきましょう。
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マクロ環境のマーケットリサーチ
(セカンダリデータ)
こんにちは。マーケットリサーチでは、プライマリデータと言われる現在の情報とセカンダリデータと言われる過去の情報と2種類のデータを収集しますが、今回は、セカンダリーデータと言われるマクロ環境の過去の情報について見ていきましょう。
マクロ環境とは、政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境のことですが、マクロ環境のセカンダリーデータとは、これらの6つの環境がどのように変化しているのかがわかるように数値やグラフや表で示されたものです。
前回までのマクロ環境のプライマリデータのマーケットリサーチで、政治、経済、社会、技術、自然の環境の例を示しましたので、今回は人口動態について見ていきましょう。
ビジネスを行う上で、人口動態は非常に重要な情報です。
人口動態のマーケットリサーチは、簡単に言いますと、どんな人が、何人いて、どんな変化があるかを過去から現在に渡って調べて、数値やグラフや表で示します。
たとえば、日本の総人口推移は以下の様になっています。(引用:統計局 総人口の推
移)
たった、この3つのグラフを見ただけでも、業界や自社の将来が何となく予測が出来そうですね。
たとえば、食料品を取り扱う企業なら、特に、こういった資料は非常に重要な情報です。
よく、我が社は小規模な会社なので、あるいは、企業間の取引だけなので、こういった情報は必要ないと言われる方がいらっしゃいますが、次のように考えてください。
いずれにせよ、どんな商品やサービスも最終的には人が買うのです。
ですから、最終的に買う人が増えれば、風が吹けば桶屋が儲かると言われるように、自社がそのトレンドの流れに乗っていれば、当然、受注も増えるのです。
このように、特に人口動態は、全ての企業にとって重要なマクロ環境の情報ですので、自社が属する業界に影響を与えるマクロ環境の情報は必ず調べてください。
では、具体的にマクロ環境で得た人口の情報を小規模事業所のビジネスにどのように活用すれば良いのかを見ていきます。
たとえば、あなたが街の定食屋さんを営んでいたとします。
統計資料によれば、日本人の人口が減っていて、外国から来る人の約70%は韓国、中国です。
ところで、どんなメニューを開発して目玉商品にすれば売り上げが伸びるでしょうか?
想像がつきますね。
もちろん、この時点では、マーケティングのイメージを掴む程度でよいので、何をするかを決めるのではなく、どんな動向があるのかを客観的事実に基づいて確認することが目的ですので、勘違いしないようにしてください。
では、次回から、お待ちかねのミクロ環境(業界環境)のマーケットリサーチについて見ていきましょう。
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高度成長期を支えたコンサルタント
一倉定(11)「シンデレラの多角化(5)」
「管理で最もおろそかになるのは「人間の心理」である。」
一倉 定
こんにちは。
前回は、多角化のアイディア出しが終わった時点から、マーケティングで、どんなことを行えば良いかを確認しました。
そして、「シンデレラ(飛び込み顧客)」が自社に教えてくれるニーズから多角化するアイディアの創り方を説明し、その後は、マーケティングが必要だと申し上げました。
繰り返しになりますが、マーケティングは、以下の4つのプロセスで行われます。
1 マーケットリサーチ(情報収集)
2 分析
3 計画
4 実行
そして、アイディア出しの次にマーケティングの1のマーケットリサーチ(情報収集)を行います。
マーケットリサーチで収集する情報は、以下の5つでした。
1 マクロ環境の動向(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境)
2 ミクロ環境の動向(業界環境)
3 競合他社の特定と動向
4 自社の競争優位性(価格戦略、差別化戦略の選択)
5 自社が実現する市場規模(売上高)
さて、前回の復習が長くなりましたが、今回は、マーケットリサーチで行われる1のマクロ環境の動向(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境)について見ていきましょう。
最近は、翳りが見え始めましたが、ここ10年くらいでは、ブリックス(BRICS)の経済発展に注目が集まりました。ブリックス(BRICS)とは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカです。
ブリックスの経済発展からも分かりますように、国の経済発展の大きな要因は、資源と人口です。
国力を上げるには、この2つの要因は必須ですが、現状の日本は、この2つの課題が克服できていません。
資源の方は、みなさんご存知の青山繁晴さんと青山千春博士を代表に心から日本国を憂う人達の猛烈な努力によって、メタンハイドレードに注目が集まりだし、日本は資源大国へと昨年から政府の予定通り歩み出しました。
メタンハイドレードは、もともとの政府の予定では、実用化に向けて3段階のフェーズ・アプローチをしています。
開発計画では、2001~2008年度までの8年間をフェーズ1(基礎研究)として、それに続き2009~2011年度は、フェーズ2として、「南海トラフ海域における海洋産出試験の実施調査」をしています。
そして、2012年暮れからは、悲願であったフェーズ3で、いよいよ実用化へ向けて動き出し、日本は資源大国へと歩みだしました。
さて、日本は、資源面では、成長の兆しが見え始めましたが、国が成長するには、ブリックスの急成長を見れば明らかですが、人口が増加していく必要があります。
ところが、日本では、社会環境や経済環境などのマクロ環境の影響から人口は減少しています。
人口問題は、資源問題ほど注目されませんが、国力を上げるには外せない重要な要因です。
日本は以前からこれらの問題を解決するために、ベーシックインカムや専業主婦に国が金銭的援助を行うなどで人口を増やす案がありましたが、なかなか実現しません。
そして、日本の経済は成長どころか成熟しただけで、市場の分配しか打つ手がなくなり始めました。
机上の空論の空手形で、実体のない投資市場を煽ったところで、単純にインフレ下のバブルではなく、デフレ下のバブルを生み出すだけです。
そして、企業が成長するために多角化や商品開発する以前に、まず、こういったマクロ環境がどのように変化しているかといったマーケットリサーチをして、この大きな流れを客観的視点で調査することは非常に重要です。
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