我が社が生き残るための ミクロ環境(業界環境)の競争戦略
(3) 社長の仕事(使命)とは何か
こんにちは。前回お話ししたように、市場の成功要因である、占有率、認知度、好感度という三種の神器は、占有率を上げることで認知度が高まり、新規の見込み客に自社の存在に気づいてもらうことができます。
そして、その時に好感度がよければ、話が進み、ようやく、見込み客が自社と競合他社を比較してくれるようになります。
ですから、まずは、市場(競争環境)の成功要因が満たせなければ、問い合わせの電話もありませんし、見積りすらきません。
なぜなら、見込み客は、自社の存在すら知らないわけですから。 このことは、気づいているようで、気づいていない方が大変多く、新規顧客の開拓は、まずは、好感がもてる自社が存在することに気づいてもらうことに全力で取り組む必要があり、これが出来なければ、何も始まらないのです。
ところで、このことは事業規模が大きく有名な会社には関係がないと、きっぱり言う方がいますが、明らかに誤認です。 なぜなら、事業規模が大きく有名な会社の実態は、小さな会社もしくは事業部が寄せ集まってできているのです。
ですから、よくある話ですが、全体の事業規模が大きな会社で事業部の対象を決めずに希望者を募って全社研修をすると、必ず研修に来た人たちが同じ会社名、あるいは関連会社なのに、研修参加者同士が名刺交換をして自己紹介から研修が始まるのです。
そして、まるで営業活動に来たように、研修参加者同士が研修そっちのけで、営業活動を始める人が多いです。
つまり、研修に来る目的が人脈づくりや営業活動に変化してしまうのです。 もちろん、そういった行動も大歓迎ですが、こういった行動からも判るように、多くの方がイメージしている有名な大きな会社といったものは、このようなもので、事業規模や知名度というのは、人脈づくりや営業活動ではあまり関係ありません。
事業規模が大きな会社は、対象とした市場規模が大きいことが前提になっているだけで、そんなもんです。
やることは事業規模に帰属しません。全く同じです。
また、同じようにコトラー先生の本は、大手企業向けに書かれた本で、個人事業者や小さな事業所の人がいくら読んでも、あまり参考にならないといった戯言を言う人もいますが、そういった発言は、企業経営が何かを全く知らない人の無責任な発言です。
ただ、事業規模による特徴が多少異なり、事業規模が大きい時は、規模の経済性を活かしてマーケティングの成功要因に重点を置いた行動をとることが多くなりますが、事業規模が小さい場合、無名の企業である可能性が高いため、市場の差別化要因に重点を置いた活動をすることが多くなるという特徴の違いはありますけど、基本的にやることは同じです。
さて、特に今回お伝えしたいのは、成功要因を創るための条件ということで、新規顧客は誰が創るのか? ということです。
こういった質問をすると、おそらくほぼ100%の人は、新規顧客は営業部員が創ると言うと思います。
しかし、特に一倉定先生に洗礼された方なら、そんなことを言うと「ボンクラ!」と言われて叱られると思いますが、明らかに違います。
顧客を創るのは、唯一、社長の仕事です。 社長の仕事とは、顧客を創るのが最も重要な仕事で、それ以外の仕事は、基本的に仕事としては優先順位が低く、極端に言えば、それ以外の仕事は社長本来の仕事ではないのです。
もちろん、事業規模が小さければ、それ以外にもやらなければならないことが沢山ありますが、しかしながら社長の仕事とは自社の顧客を創造することが社長本来の仕事なのです。
このことが理解できない2代目社長があまりにも多い。 特にお父さんが起業した会社で、息子さんがその会社を継承できない時は、ほぼ100%と言ってもいいほど、このことを理解していないのです。
そして、何らかの作業に集中しだしたり、マーケットリサーチすらしないで、売れる見込みのない自社製品を作ったりして、だいたい5年以内にお父さんが苦労して育てた会社を潰すのです。
是非、この機会に、社長の仕事(使命)とは、顧客を創造することであると認識してください。
これは、企業の使命と同じですが、企業の使命とは何かと問われれば、それは、顧客の新たなニーズに沿った市場を創造することですが、同様に社長の使命とは何かと問われれば、それは、自社の顧客を創造することなのです。
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