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一倉定(7)「シンデレラの多角化」(1)
「我社の事業の定義づけをしている会社は、不思議と立派な会社になっていくのである。」
一倉 定
こんにちは。 今回は、一倉定先生の教え「シンデレラの多角化(1)」について見ていきましょう。
今回ご紹介する多角化は、小規模な事業所が生き残りをかけて行う、一倉定先生流の「シンデレラの多角化」です。
ところで、この「シンデレラ」という言葉ですが、これは、ドラッカーがよく言っていた「予期せぬ顧客」のことで、ドラッカーの命名に由来した言葉です。
ドラッカーの言う「予期せぬ顧客」とは、要は、お客さんがわざわざ自社を探し出して、何かの注文をするような飛び込み客の事です。
たとえば、自転車がパンクしたら、パンクの修理をしてくれる自転車屋さんをお客さんがわざわざ探して、パンクの修理を依頼しますが、このような時に舞い込んで来るような顧客のことを「シンデレラ」と言っています。
巷に溢れるマーケティング与太話では、こういった時に、たとえば、パンクの修理に松竹梅と3段階の修理価格を作れとか、パンクの修理を望んでいる顧客にタイヤごと売れとか、新型の自転車を提案しろとか、押し売りを迫ることを教えますが、これが前回申し上げた、一倉先生のおっしゃる「天動説」です。
シンデレラが望んでいるのは、自転車の原状復帰ですが、傷ついているシンデレラに追い打ちをかけて押し売りを迫るのですから、そんなことしたら火事場泥棒みたいなもんで、信用を失うだけではなく、二度とシンデレラは現れなくなりますので、そういったデタラメな話は、まともに信じてはなりません。
こういった時は、どのようなことをするべきかと言いますと、こういった時こそ、一倉先生の教えの要である「環境整備」が生きるのです。
たとえば、パンクの修理をしている間、待ってもらうための快適な待合室。
無料のコーヒーやジュースのサービス、清潔で美しいトイレ・・・、
いくらでも「環境整備」によって、シンデレラに喜んでもらえることはあります。
さて、話を戻しますと、このように舞い込んだ「シンデレラ」の助けによって、自社が多角化できる可能性を探り、自社の業績回復を試みるのが、一倉先生の言う「シンデレラの多角化」です。
では、次回は、具体的に一倉先生流の「シンデレラの多角化」の方法を見ていきましょう。
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