2014年2月2日日曜日

高度成長期を支えた経営コンサルタント 一倉定(6)「天動説」

高度成長期を支えた経営コンサルタント 一倉定(6)「天動説」




「わが社の赤字は、お客様を忘れたのが原因である。」
 一倉 定 

 こんばんは。 今回は、一倉定先生の教え「天動説」について見ていきましょう。

企業の売り上げが下がる理由に「売れない商品を率先して売る」という奇妙な行動があります。 

ちょっと、ややっこしい話ですが、「売れる商品を売る」ではなく、「売れない商品を率先して売る」のです。

この、企業が「売れない商品を率先して売る」理由は、次の2つの理由から起きます。  

 1 余剰在庫を処分したい。  
 2 利益率がよいので売りたい。

この2つの理由から、「売れない商品を率先して売る」のです。 

残念ながら、こういった光景をよく見かけます。 

たとえば、「店長のおすすめ」と書かれた商品が、実は、「売れ残った商品」か「お店が得る利益率が高い商品」。 

お客さんのために選んだ商品ではなく、お店の利益を追求するために勧めている商品が「店長のおすすめ」になっているケース。 

あるいは、企業間の取引なら、セールスマンが小売店に「売れ筋です」と言って、置いて行く商品が「売りたい商品(大量に余っている商品)」になっているケース。 

もちろん、企業が「売りたい商品」が、本当にお客さんにとって「おすすめの商品」なら問題はありませんが、殆どの場合、いらない商品、粗悪な商品・・・、といった売る側の身勝手な商品が実に多い。 

また、こういった行動をする会社のセールスマンは、商品知識すらなく、数字だけで売り上げノルマを達成しやすい商品を組み合わせて選んでいることが多く、販売代理店やエンドユーザーに迷惑な押し売りを続けても罪悪感すら感じていません。 

一倉先生は、こういった現象を「天動説」と呼び、会社を潰す最悪の原因の一つとして指摘しています。 

ビジネスは、まず、第一に信用です。信用がなければ、表敬訪問すらできません。 

ですから、たとえば、仮に広告代理店であったとしても、自社が広告する製品がどんな製品かも知らないで、欲を煽るだけのデタラメな広告をすれば、当然、信用問題になりますし、何かあれば、信用問題だけでは済みません。 

たとえ、どんな業種のビジネスであろうと、一倉先生が指摘する「天動説」は、まかり通りません。 

もし、仮に強引に「天動説」を押し通せば、信用を失うだけではなく、「天動説」がわかった時点で出入り禁止になりますし、その後の存続も殆ど無理です。 

そして、一倉先生のおっしゃる「天動説」は、顧客を欺いて自社の利益を追求する「売れない商品を率先して売る」ことから始まるのです。 

やはり、どんなに時代が進んでも、「天動説」は普遍のルールですし、行ってはならない行為です。 

そして、時代は黎明期を終えて新たな時代が始まっています。「信頼」、「友情」、「優しさ」、「礼節」、「思いやり」、「おもてなし」・・・、日本には世界に類をみない、こういったお金で買えない素晴らしい心がけの文化があったはずです。 

こういった文化をもった我々日本人だからこそ、お金で買えない素晴らしい心がけの文化をビジネスに織り込むことが、本当の意味で新たな時代で行うビジネスの第一歩となるのではないでしょうか。 


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