高度成長期を支えた経営コンサルタント
一倉定(9)
「シンデレラの多角化(3)」
「生き残る道はただ一つ、次の事である。変転する市場と顧客の要求を見極めて、これに合わせて我社をつくり変える。これしかないのだ。」
一倉 定
こんにちは。 前回、「シンデレラ(予期せぬ顧客)」によって、自社が多角化できる可能性を探りました。 今回は、この「シンデレラ」が持ち込んだニーズをもとに、小規模な事業所がどのように多角化すれば良いかを見ていきましょう。
前回、申し上げましたが、引越しの場合、引越し業者が、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、箪笥、テーブル、布団、カーテン、絨毯、床のコーティング、ハウスクリーニング・・・ と、様々なものを販売する可能性があります。
また、お客さんからは、必ずといっていいほど、家電製品、家具・・・、などを引き取ります。
今回は、このケースで多角化を考えてみましょう。 ところで、前回、事業を成長させる時には、
1 集中的成長(既存市場)
2 統合的成長(関連市場)
3 多角的成長(現在の業務と関連のない新規市場)
この3種類の成長を考えると申しましたが、多角化によって事業の成長を考える時は、「シンデレラ」のニーズをこの3つに分類します。
たとえば、引越し業をしていて、上述の内容でお客さんから注文があるとすると、
1 集中的成長(既存市場)
・運送業界(引越し)
2 統合的成長(関連市場)
・不動産業界(床のコーティング、ハウスクリーニング)
3 多角的成長(現在の業務と関連のない新規市場)
・家電業界(エアコン、洗濯機、冷蔵庫など)、
・家具インテリア業界(箪笥、テーブル、カーテン、絨毯など)、
・リサイクル業界(家電製品、家具インテリアなど)
まずは、このように分類します。 次に、1~3をどのように組み合わせれば、自社が競合他社と差別化ができ、売り上げが最大になるかを見ていきます。
たとえば、1と2を組み合わせた場合、自社が今後ターゲットとすべき市場は、“不動産業界の内装”にターゲットを絞った引越し業者を目指すことになります。
つまり、今まで漠然と顧客のニーズを満たしていた引越し業者から、「引越し時の内装まで安心な引越し屋さん」として、自社の特徴を明確に打ち出すことで、競合他社との差別化ができ、顧客ターゲットを絞った多角化ができるようになります。
あるいは、1と3を組み合わせた場合、顧客から家電製品、家具インテリアなど買い取ることで、「お財布にやさしい引越し屋さん」になることもできます。
このように、シンデレラが教えてくれるニーズをもとに、自社が多角化するプランを何案か洗い出します。
つまり、 1 「引越し時の内装まで安心な引越し屋さん」
2 「お財布にやさしい引越し屋さん」
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さて、これが決まれば、あとは、どのプランが自社の売り上げを最大にするかを調べます。
ところで、マーケティングは次の4つのプロセスで出来ています。
1 マーケットリサーチ(情報収集)
2 分析
3 計画
4 実行
このアイディア出しが終わった時点で、どのプランが自社の売り上げを最大(自社の顧客になる見込み客が最大)かを調べるために、マーケティング活動が始まり、まずは、マーケティングのプロセス1のマーケットリサーチ(情報収集)を行います。
では、次回は、アイディア出しが終わった時点からマーケットリサーチまでで、どんなことを行えば良いかを見ていきましょう。
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