高度成長期を支えたコンサルタント
一倉定(11)「シンデレラの多角化(5)」
「管理で最もおろそかになるのは「人間の心理」である。」
一倉 定
こんにちは。 前回は、多角化のアイディア出しが終わった時点から、マーケティングで、どんなことを行えば良いかを確認しました。
そして、「シンデレラ(飛び込み顧客)」が自社に教えてくれるニーズから多角化するアイディアの創り方を説明し、その後は、マーケティングが必要だと申し上げました。
繰り返しになりますが、マーケティングは、以下の4つのプロセスで行われます。
1 マーケットリサーチ(情報収集)
2 分析
3 計画
4 実行
そして、アイディア出しの次にマーケティングの1のマーケットリサーチ(情報収集)を行います。
マーケットリサーチで収集する情報は、以下の5つでした。
1 マクロ環境の動向(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境)
2 ミクロ環境の動向(業界環境)
3 競合他社の特定と動向
4 自社の競争優位性(価格戦略、差別化戦略の選択)
5 自社が実現する市場規模(売上高)
さて、前回の復習が長くなりましたが、今回は、マーケットリサーチで行われる1のマクロ環境の動向(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然の環境)について見ていきましょう。
最近は、翳りが見え始めましたが、ここ10年くらいでは、ブリックス(BRICS)の経済発展に注目が集まりました。ブリックス(BRICS)とは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカです。
ブリックスの経済発展からも分かりますように、国の経済発展の大きな要因は、資源と人口です。
国力を上げるには、この2つの要因は必須ですが、現状の日本は、この2つの課題が克服できていません。
資源の方は、みなさんご存知の青山繁晴さんと青山千春博士を代表に心から日本国を憂う人達の猛烈な努力によって、メタンハイドレードに注目が集まりだし、日本は資源大国へと昨年から政府の予定通り歩み出しました。
メタンハイドレードは、もともとの政府の予定では、実用化に向けて3段階のフェーズ・アプローチをしています。
開発計画では、2001~2008年度までの8年間をフェーズ1(基礎研究)として、それに続き2009~2011年度は、フェーズ2として、「南海トラフ海域における海洋産出試験の実施調査」をしています。
そして、2012年暮れからは、悲願であったフェーズ3で、いよいよ実用化へ向けて動き出し、日本は資源大国へと歩みだしました。
さて、日本は、資源面では、成長の兆しが見え始めましたが、国が成長するには、ブリックスの急成長を見れば明らかですが、人口が増加していく必要があります。
ところが、日本では、社会環境や経済環境などのマクロ環境の影響から人口は減少しています。 人口問題は、資源問題ほど注目されませんが、国力を上げるには外せない重要な要因です。
日本は以前からこれらの問題を解決するために、ベーシックインカムや専業主婦に国が金銭的援助を行うなどで人口を増やす案がありましたが、なかなか実現しません。
そして、日本の経済は成長どころか成熟しただけで、市場の分配しか打つ手がなくなり始めました。
机上の空論の空手形で、実体のない投資市場を煽ったところで、単純にインフレ下のバブルではなく、デフレ下のバブルを生み出すだけです。
そして、企業が成長するために多角化や商品開発する以前に、まず、こういったマクロ環境がどのように変化しているかといったマーケットリサーチをして、この大きな流れを客観的視点で調査することは非常に重要です。
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