価格競争ができない競争環境で価格優位を実現する方法(2)
こんにちは。 今回は、書店や歯医者など、価格競争ができない競争環境で、どのようにすれば価格優位が実現できるかを見ていきましょう。
前回、価格競争ができそうにない競争環境で価格優位を実現する方法は、以下の3種類あると申し上げました。
1 競争する対照を替える方法(代替品が生み出す利益)
2 顧客が得る利益が増える方法(新たな利益の創出)
3 1と2を同時に行う方法(顧客の経費を減らして新たな利益を創出)
そして、以前、申し上げたように、差別化して競争優位になる方法は7種類あり、それをマーケティングの7Pといい、その内容は以下のような内容でした。
1 製品(商品+サービス)
2 価格(製品価格)
3 場所・流通(所在地、取引・製品・情報の流通)
4 プロモーション(広告・宣伝)
5 人(協力会社を含めた要員)
6 プロセス(業務プロセス)
7 物的証拠(保障と証拠)
今回は、この3種類の価格優位の創出方法とマーケティングの7Pを使って、価格競争できない競争環境で価格優位を実現する方法を説明いたします。
ところで、マーケティングの7Pは、以前説明した通り、自社と競合他社を差別化して競争優位になるための要因です。
と、いうことは、自社が価格優位になるには、3種類の価格優位の創出方法に沿って7Pをどのように改善したら、価格優位が創出できるか、自社と競合他社の7Pを1つづつ比較検討して行けばいいだけなのです。
ただし、今回は、書店VS書店ですので、価格による差別化は、できませんので、価格以外の6Pを検討することになります。
つまり、
1 製品(商品+サービス)
1 競争する対照を替えることで、顧客に新たな利益を創出できないか?
2 製品によって顧客に新たな利益を創出できないか?
3 1と2を同時に行うことはできないか?
(2は、価格)
3 場所・流通(所在地、取引・製品・情報の流通)
1 競争する対照を替えることで、顧客に新たな利益を創出できないか?
2 場所・流通によって顧客に新たな利益を創出できないか?
3 1と2を同時に行うことはできないか?
・
・
・
このように価格以外の6Pを1つづつ検討して行きます。
そして、競合他社と比較検討した競争優位が以下のような内容になったとします。
1 製品(商品+サービス) 客層にあわせた品揃えの取捨選択を行い、一般的な売れ筋の本ではなく、常連客が欲しがる書籍を増やしていく。
2 価格(製品価格) 業界の暗黙のルールにより差別化できない。
3 場所・流通(所在地、取引・製品・情報の流通) 希望者には配達をする。
4 プロモーション(広告・宣伝) Eメールによるニュースレターで広告する
5 人(協力会社を含めた要員) 書籍購入販売相談員を1人常駐させる。
6 プロセス(業務プロセス) 会員制で共同購入販売を始める。
7 物的証拠(保障と証拠) 会員限定中古本買い取り保証
このように、自社が実行できる6Pの差別化要因を書き出します。
次に、これらの6Pを「自社の売り上げを伸ばす要因」と「顧客の利益を増やす要因」に分類します。
たとえば、
●自社の売り上げを伸ばす要因
4 プロモーション(広告・宣伝) Eメールによるニュースレターで広告する
6 プロセス(業務プロセス) 会員制で共同購入販売を始める。
●顧客の利益を増やす要因
1 製品(商品+サービス) 客層にあわせた品揃えの取捨選択を行い、一般的な売れ筋の本ではなく、常連客が欲しがる書籍を増やしていく。
3 場所・流通(所在地、取引・製品・情報の流通) 希望者に配達をする。
5 人(協力会社を含めた要員) 書籍購入販売相談員を1人常駐させる。
6 プロセス(業務プロセス) 会員制で共同購入販売を始める。
7 物的証拠(保障と証拠) 会員限定中古本買い取り保証
このように分類しましたら、次に自社が最小コストで最大利益を生み出す組み合わせに絞り、実行する内容を決定します。
たとえば、
●自社の売り上げを伸ばす要因 6 プロセス(業務プロセス)
会員制で共同購入販売を始める。
●顧客の利益を増やす要因
1 製品(商品+サービス) 客層にあわせた品揃えの取捨選択を行い、一般的な売れ筋の本ではなく、常連客が欲しがる書籍を増やしていく。
6 プロセス(業務プロセス) 会員制で共同購入販売を始める。
この場合、プロセス、製品による差別化で価格競争ができない競争環境で価格優位を実現し、自社の売り上げを伸ばし、顧客の利益を増やすマーケティングを実行します。
また、このようにマーケティングの7Pの何かの要因を選んで組み合わせることをマーケティングミックスと言います。
今回は、価格競争ができない競争環境で価格優位を実現する方法に焦点をあて、その競争環境でのマーケティングの解決策を確認しました。 次回は、自社が新たな市場に参入する時に、どのような考え方で、どんな市場を選択すれば最も競争優位になるかを見ていきましょう。
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