高度成長期を支えた経営コンサルタント
一倉定(1)「企業の使命とは何か?」
まぁー、一倉先生ほどコンサルティング企業が多い先生もいないんじゃないでしょうか。
コンサルタントをしている以上、一倉先生を知らなければ、もぐりか、経験が浅いかでしょうね。
何年間かコンサルタントをやっていれば、何かで必ず出会う人ですから。 自分の知っている範囲でも、事業規模に関係なく、かなりの数の企業の社長さんや経営企画関連の幹部社員は、一倉先生の洗礼を受けていました。
いろんな企業の一倉流経営計画書に目を通しましたが、ちょっと前に流行ったバランススコアカードのような定型のフォームがあるわけではなく、個々の会社によっていろんな書き方がありました。
一倉先生は、経営計画書を「魔法の書」とおっしゃっていましたが、経営計画書で書かれている内容は、よくある経営計画書とあまり変わらないのですが、「環境整備」、「顧客第一主義」とか、電話対応のトーク例とか、指示命令系統が書かれているとか、現在では、マニュアルに書くような内容も入っていました。
京セラの稲盛和夫さんが私塾の塾生に書かせる経営関連のものがそっくりですね。
不思議と企業理念が共通で、「頭を垂れる稲穂の心」や、親鸞聖人の教え?みたいな色合いがある内容も織り込まれていました。
正直、ちょっと古いというと何ですが、古いのですが、ただ、コンサルタント一倉定は、忘れてはいけない重要な先生だと思います。 確かに、晩年、いろいろとありましたが、そういったものを差し引いても、一倉先生は戦後の日本の企業を支えた重要なコンサルタントですし、一倉先生のようなコンサルタントが今の日本に必要だと思うのです。
それは、なぜか?
それは、「企業の使命とは何か?」と聞かれて、明白に答えられる人が殆どいなくなっているからです。
「企業の使命とは何か?」と聞かれて、本気で「営利追求です」と答える人がほとんどですから、まぁー、一倉先生が生きていたら、顔を真っ赤にして「ばかもの! ボンクラ!」と叱られるでしょうね。
せめて、「営利追求」は、「使命」ではなく、企業が存続するための「条件」だと気づいて欲しいもんです。
いくら儲けたかだけで、ビジネスや企業や人を評価するのはいかがなもんでしょうか。
大人がやることじゃないです。判断基準が稚拙すぎます。
やはり、これからの時代、日本の企業が大きく成長するには、我々は原点に立ち返り、もう一度、企業の在り方、そして、個人の仕事に対する姿勢を見直すべきだと思います。
ということで、次回から、一倉定先生が残してくれた大切な教えを何回かに渡ってご紹介させていただきます。
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