2014年1月31日金曜日

代替品の脅威(1)

代替品の脅威(1)



こんにちは。今回は、代替品の脅威について見ていきましょう。

市場(業界)に代替品が参入してきて顧客がどんどん流出しだした場合、実際、打つ手はほとんどありません。

被害を最小に抑えることに終始するだけで、残念ながら、指をくわえて見ていることになります。

自分の経験でも、何度かそういった場面に出くわしましたが、特にニッチな市場に代替品が参入してくると、まるで、スポンジで水を吸い取るかのように、あっという間に顧客を吸い取られ、戻って来ませんでした。

特に事業規模が小さい企業は死活問題ですから、訪問回数を増やし、必死に営業活動をして顧客を呼び戻す努力をしますが、営業努力で成功することはありません。

また、そういった時期に値引きをして代替品と交戦すると、無理な価格競争から既存製品の品質が下がったり、ミスが増えて信用を失ったりと、返って信用問題がぐらつき、せっかく残っている既存客までもが離れていく危険性が増します。

ただ、簡単に代替品に顧客を吸い取られる市場(業界)は、市場(業界)自体にも多くの問題を抱えています。

こういった市場(業界)の最大の特徴は、価格設定に透明性がなく、顧客は常に売り手の言い値で商品やサービスを買わされるのが特徴です。

ですから、顧客の最大の不満は、「なぜ、そんなに費用がかかるのか?」この1点です。  
従って、解決策もいたって単純で、顧客が納得できる価格設定をするだけなのです。

ところが、こういった市場(業界)には、売り手全体に暗黙の定価のようなものがあり、顧客のために企業努力をする企業も皆無です。

そうなると、当然、格安な代替品が参入すれば、まるで、スポンジで水を吸い取るかのように、あっという間に顧客を吸い取られるのは当たり前の話なのです。

やはり、どんな市場(業界)であろうと、顧客は最小コストで最大利益を実現するのが世の常ですから、顧客の最大利益を実現するのが企業の使命です。

もちろん、政府の規制により価格が決められている市場(業界)もありますが、誠実な経営をしている企業は、そんな規制がある中でも、顧客の最大利益を実現するために最適な製品販売をしますので、業界内の全ての企業が怪しいわけではありません。

ですから、代替品の脅威といっても、その脅威で業界の統廃合が始まるような場合、業界内の企業が顧客はそっちのけで、自社の最大利益だけを追求していることが多く、市場(業界)が陳腐化すると、青天の霹靂のように代替品によって顧客がどんどん流出するのは当然です。

ちょっと、話が変わりますが、残念ながら、もう亡くなられたのですが、一倉定さんという社長だけをコンサルティングするという異色のコンサルタントと言われた方がいました。 

この先生は、顔を真っ赤にして社長を叱り飛ばすことで有名だった先生ですが、一倉先生なら、「そもそも透明性のない価格設定をするなど、まるで天動説だ! 今すぐ社長自ら価格表をもって全ての顧客を訪問して陳謝しなさい!」と言われそうですね。

今回のテーマは、一倉先生のライフワークのような話ですが、一倉先生の御著書の中で、このような天動説を創造的破壊する様々なケーススタディーが書かれています。

小規模な事業所向けの話が満載ですので、ご興味がある方は、御一読下さい。

さて、代替品の脅威が発生すると、決め手となる解決策はありませんが、被害を最小に抑えることはできます。 次回は、代替品の脅威に対する対抗策について見ていきましょう。


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