2014年1月30日木曜日

魅力的な新規参入の仕方「参入障壁」と「退出障壁」(2)

魅力的な新規参入の仕方

「参入障壁」と「退出障壁」(2)

 こんにちは。今回は、事業規模や経営資源に関係なく参入障壁が高く、退出障壁が低い市場(業界)に参入する方法について見ていきましょう。

ところで、参入障壁には、主に初期投資額、規模の経済性(大量生産による低価格化)、特許やライセンスの取得、立地・原材料・流通業者の確保、企業の社会的評価などがあります。

また、主な退出障壁は、社会的責任、政府による規制、資産価値、垂直・水平統合などの業界構造、感情的な障壁などがあります。

そして、参入障壁が高く、退出障壁が低い市場(業界)は、競合他社が少なく、撤退する時の費用が安い市場で、収益性が良く、廃業する時の費用も少ない最も魅力的な市場です。

さて、このタイプの市場(業界)の例として、よく、士業があげられますが、確かに士業は、特殊な医療を除いて参入障壁が高く、退出障壁が低い市場(業界)ですが、現在は市場参加者が多すぎて多数乱戦業界になっています。

たとえば、弁護士は、どうでしょうか?

確かに参入障壁が高く、退出障壁が低い市場(業界)ですが、現在は、仕事量より弁護士の方が多いくらい弁護士はいます。 開業医の歯医者さんなんかもコンビニの数よりも多いくらいです。

では、税理士は? 行政書士は? 中小企業診断士は? ・・・。 

みんな供給過多で、世の中、先生だらけです。 ということは、士業は特許やライセンスの取得が参入障壁にならないのか?

そんなことはないですね。確かに規制は緩くなりましたが、資格を取るのは大変です。

では、参入障壁が高く、退出障壁が低い市場(業界)は競合他社が少ないということは間違えか? 

ここですね。

こういった場合、必ずお決まりの原因があります。

どうして、士業はやっていけなくなってきたか? 

安定したニーズはあり、参入障壁も高いのに、競合が多く閑古鳥が鳴いている。それは、なぜか? 

こういった場合、もとの考え方が間違っているのではなく、マクロ環境(政治、経済、社会、技術、人口動態、自然 これらの環境)の何かが変化して、代替品が存在しているのです。

つまり、わざわざ○○士業の人に頼まなくても、代替品で格安にできるし、代替品を使う方が顧客が得る利益が多いのです。

そして、この代替品が士業の顧客の流出を招き、顧客が別の市場に移っているのです。 こういった業界の場合、業界の統廃合が今後行われます。

たとえば、個人開業医は自営業ではなくフランチャイズに加盟するとか、利益が出るまで様々な士業が1つの企業(弁護士、税理士、行政書士、中小企業診断士、弁理士・・・ これらが1つの企業になる)として水平統合していく、あるいは1つの士業で規模の経済効果が表れるまで事業規模を大きくしていく、あるいは、特定の業務に集中して事業規模を縮小していくとかが行われます。 

いづれにせよ、異業種にいる代替品の脅威に対する対抗策を行わない限り、存続ができません。 

ということは、もう、お判り頂けたとは思いますが、参入障壁が高く、退出障壁が低い市場(業界)に参入する方法は、その業界にいる顧客が得る利益を増やすような代替品で参入すればいいのです。

では、次回は、この代替品の脅威について見ていきましょう。


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